財産分与の注意点は?長期譲渡と短期譲渡の違いも解説
離婚時の財産分与において、マイホームなどの不動産をどのように扱えばよいのか、また税金がどれくらい発生するのかとお悩みではありませんか。
複雑な税制を理解しないまま慌てて名義変更や譲渡を進めてしまうと、後になって予想外の高額な税金を請求され、新生活のスタートに大きな支障をきたす恐れがあります。
本記事では、財産分与に伴う譲渡所得税の基本的なしくみをはじめ、税負担を大幅に軽減できる特例、長期譲渡と短期譲渡の違いについて解説します。
ご夫婦で不動産を共有している方や、これから具体的な離婚協議を進めようと検討されている方は、損をしないためにもぜひご参考になさってくださいね。
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不動産の財産分与にかかる所得税・住民税の基本

不動産を財産分与する際には、主に譲渡所得税や住民税などの税金についておさえておく必要があります。
まずは、財産分与における課税のしくみと税金の算出方法について解説していきます。
譲渡所得と課税対象
財産分与では、婚姻中に築いた財産を離婚時に分け合うため、マイホームなどの不動産も対象になります。
不動産を渡す側は、まず分与時の時価と取得費などを比べ、譲渡所得が生じるかを確認しましょう。
税務上は無償で渡したように見えても、財産分与の義務がなくなる経済的利益を受けたと考えられます。
そのため、分与時の時価で譲渡したものとして、課税関係を整理する流れになります。
ただし、課税されるのは時価が取得費などを上回り、値上がり益が出ている部分です。
購入時より価格が下がっていて利益がなければ、譲渡所得税は基本的に発生しません。
費用の計算と課税税率
譲渡所得は、譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて計算します。
財産分与では、実際に売買代金を受け取らなくても、分与時点の時価を譲渡価額として扱う点に注意が必要です。
取得費には購入代金や仲介手数料のほか、購入時にかかった設備費、改良費、測量費なども含められます。
また、建物は年数の経過により価値が下がるため、減価償却費を差し引いて取得費を求めます。
取得費がわからない場合は、譲渡価額の5%を概算取得費として計算できる仕組みです。
算出した譲渡所得には、所得税と住民税、復興特別所得税が申告分離課税としてかかります。
申告手続きと納付時期
譲渡所得が生じる場合は、譲渡した年の翌年2月16日~3月15日までに確定申告をおこないます。
主な必要書類は、確定申告書や第三表、譲渡所得の内訳書などで、早めにそろえておくと安心です。
所得税と復興特別所得税は申告時に納め、住民税はその後、自治体から通知されます。
財産分与では現金の受け渡しがないことも多く、申告の必要性を見落としやすい点に注意しましょう。
さらに、時価があいまいだと計算が進めにくいため、不動産査定書など客観的な資料を準備しておくことが大切です。
受け取る側は原則として贈与税の対象外ですが、分与額が過大な場合は扱いが変わることもあります。
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税負担を軽減できる3,000万円特別控除の特例

前章では、財産分与にかかる税金の基本について述べましたが、できる限り税負担は減らしたいですよね。
ここでは、税負担を大幅に軽減できる特別控除の特例について解説します。
特別控除の要件と手続
3,000万円特別控除とは、居住用として使っていた不動産を譲渡した場合に、譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける制度です。
所有期間の長さに関係なく利用できるため、譲渡益が3,000万円以下なら税負担を抑えやすくなります。
対象は、実際に住んでいる家屋とその敷地が基本ですが、転居後でも一定期間内なら適用を検討できます。
また、住まなくなった家でも、3年を経過する日の属する年の12月31日までであれば対象になる可能性があります。
家屋を取り壊して土地を譲る場合も、契約時期や利用状況などの条件確認が必要です。
一方で、別荘など居住用ではない不動産は対象外となるため、事前に要件を確認しましょう。
離婚時の特例適用の注意
離婚時に特例を使ううえで重要なのは、譲渡相手が税務上の特別な関係に当たるかどうかです。
法律上まだ夫婦である間に名義変更をすると、親族間の譲渡と見なされ、原則としてこの特例は使えません。
そのため、3,000万円特別控除の利用を考えるなら、離婚届が受理された後に譲渡手続きを進める流れが基本です。
離婚成立後であれば、元配偶者は特別な関係の相手に当たらず、適用を検討しやすくなります。
また、離婚協議書を作る際は、離婚日と所有権移転日の順番を整理しておきましょう。
日程が前後すると想定した特例を使えない場合があるため、手続きの順序を丁寧に確認することが大切です。
特例の申告期限と書類
3,000万円特別控除を利用する場合も、譲渡した年の翌年2月16日~3月15日までに確定申告が必要です。
必要書類は、確定申告書や第三表、譲渡所得の内訳書、登記事項証明書などが中心になります。
現住所と譲渡した家の所在地が違う場合は、過去に居住していた事実を示す書類を求められることもあります。
ここで注意したいのは、特例によって税額が0円になる場合でも、申告を省略できない点です。
申告を忘れると特例が認められず、本来より大きな負担につながるおそれがあります。
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長期譲渡と短期譲渡の違い

ここまで、財産分与の税金や特例を解説しましたが、所有期間による税率の違いもおさえておきましょう。
最後に、長期譲渡と短期譲渡の違いと税負担の試算について解説していきます。
所有期間5年と税率差
不動産の譲渡益にかかる税率は、所有期間が5年以下か、5年を超えるかによって変わります。
5年以下なら短期譲渡所得、5年超なら長期譲渡所得として区分され、税率の判定に使われます。
短期譲渡の税率は39.63%で、長期譲渡の20.315%と比べると負担差が大きくなりやすいでしょう。
この差は、短期的な転売を抑える目的があり、所有期間の確認が税額に直結します。
また、離婚に伴う財産分与であっても、譲渡益が出ていれば同じ考え方で税率を判断します。
所有期間を確認せずに進めると想定より税額が増えることもあるため、早い段階で取得時期を整理しておきましょう。
期間の計算と譲渡時期
所有期間の5年判定は、購入日から譲渡日までの単純な日数で決まるわけではありません。
税務上は、譲渡した年の1月1日時点で所有期間が5年を超えているかどうかで判断します。
たとえば、2020年4月に取得した家を2025年5月に譲った場合、2025年1月1日時点では4年9か月です。
この場合、実際には5年近く所有していても、税務上は短期譲渡として扱われます。
また、譲渡日を考える際は、離婚成立日や財産分与の合意日、所有権移転日との関係も整理しておく必要があります。
名義変更や合意の時期が年をまたぐだけで税率が変わることもあるため、日程管理を丁寧に進めましょう。
税負担の比較と節税策
課税譲渡所得が2,000万円の場合、短期譲渡では約792万6,000円、長期譲渡では約406万3,000円の税金がかかります。
同じ利益でも、所有期間の判定だけで約386万3,000円の差が出るため、譲渡時期の確認は重要です。
所有期間が5年前後のケースでは、財産分与の実行時期を調整できるか検討してみましょう。
たとえば、先に離婚を成立させ、不動産の譲渡は翌年1月1日以降に進める方法も考えられます。
ただし、税負担だけを優先すると、生活設計や協議の進み方に無理が出ることもあります。
財産分与の請求期限は離婚後2年とされているため、税金と期限の両方を見ながら落ち着いて話し合いましょう。
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まとめ
離婚時の財産分与で不動産を渡す際、取得時より時価が上がり利益が出た部分は課税対象となり、確定申告が必要です。
居住用不動産なら最高3,000万円の特別控除で節税できますが、適用には離婚成立後に譲渡手続きをおこなう必要があります。
譲渡年の1月1日時点で所有期間が5年を超えるかで税率が変わるため、日程を確認しながら分与時期を調整すると良いでしょう。
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