不動産相続時の配偶者居住権について!成立要件と注意点も解説
将来発生する不動産相続において、残された配偶者が現在の住まいにそのまま住み続けられるか不安に感じていませんか。
事前に対策をしておかないと、遺産分割の都合で住み慣れた自宅を手放さざるを得なくなったり、今後の生活資金が不足したりするリスクがありますが、「配偶者居住権」を活用することでこれらの問題を解決できます。
本記事では、配偶者居住権の基本的な仕組みから、権利を成立させるための具体的な要件、そして実際に制度を選択する前に知っておくべき注意点について解説します。
ご自身やご家族が不動産を相続する予定があり、残される大切な配偶者の住まいと暮らしをしっかりと守りたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
配偶者居住権とは?

不動産相続においてまず押さえるべきことには、主に配偶者居住権の基礎知識があります。
まずは、配偶者居住権の概要や、制度が生まれた背景について解説していきます。
定義と所有権との違い
配偶者居住権とは、亡くなった配偶者が所有していた建物に、残された配偶者が原則として無償で住み続けられる権利です。
所有権を取得しなくても、条件のもとで生涯にわたり住まいを確保できるため、生活環境を維持しやすくなり、老後の安心にもつながります。
一方で、所有権とは異なり、権利を第三者へ売却したり、所有者の承諾なく建物を貸したりすることはできません。
また、日常的な修繕や維持管理は居住する配偶者が担い、大規模な増改築には所有者の承諾が必要となります。
つまり、自宅の価値を居住する権利と負担付所有権に分け、配偶者の住まいを守る仕組みといえるでしょう。
制度誕生の背景と意義
配偶者居住権は、約40年ぶりとなる相続法の大きな見直しを受け、2020年4月に新設された制度です。
従来は自宅の評価額が高い場合、配偶者が所有権を相続すると、取得できる遺産の多くを不動産が占めることがありました。
そのため、住まいを確保できても、生活費や医療費に充てる預貯金が残らず、老後の暮らしに不安が生じるケースも考えられます。
しかし、居住する権利と所有権を分けることで、配偶者は自宅に住みながら預貯金なども受け取りやすくなりました。
高齢化や核家族化が進むなか、残された配偶者の住居と老後資金を両面から支える意義のある制度といえるでしょう。
存続期間と評価の仕組み
配偶者居住権の存続期間は、配偶者が亡くなるまでですが、遺産分割協議や遺言で10年、15年などの期間を定めることも可能です。
期間が満了した場合や配偶者が亡くなった場合には権利が消滅し、ほかの相続人へ相続されたり譲渡されたりすることはありません。
また、評価額は不動産全体の価値から、配偶者居住権の負担が付いた所有権の価値を差し引いて算定されます。
具体的には、配偶者の年齢や平均余命、建物の残存耐用年数、法定利率などを用いて計算する仕組みです。
そのため、居住期間が長いと見込まれるほど居住権の評価は高くなり、負担付所有権の評価は低くなる傾向があります。
▼この記事も読まれています
限定承認とは?相続放棄との違いや注意点も解説
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
配偶者居住権を成立させるための3つの要件

前章では配偶者居住権の基本的な仕組みについて述べましたが、実際に利用するための条件が気になりますよね。
ここでは、配偶者居住権が成立する3つの要件について解説します。
相続時の居住事実の確認
第1の要件は、亡くなった方の死亡時に、法律上の配偶者が対象となる建物を生活の拠点として使用していたことです。
婚姻届を提出していない事実婚や内縁関係の相手は、配偶者居住権の対象にはなりません。
また、旅行などで一時的に滞在していただけでは足りませんが、入院や短期の施設入所中でも生活の本拠が自宅なら認められる場合があります。
対象建物は亡くなった方の単独所有、または夫婦共有であることが必要で、第三者との共有名義では設定できません。
なお、店舗併用住宅でも居住部分があれば対象となる可能性がありますが、利用範囲には制限があるため確認が必要です。
取得方法別の手続き手順
第2の要件は、居住の事実があるだけでなく、認められた方法によって配偶者居住権の取得を確定させることです。
主な方法には、相続人全員で決める遺産分割協議、遺言による遺贈、死亡を条件とする死因贈与契約があります。
遺産分割協議では全員の合意を得て協議書を作成し、遺言に居住権の遺贈が明記されている場合は、原則としてほかの相続人の同意は不要です。
また、死因贈与では生前に夫婦で内容を合意し、書面として残しておくことが重要となります。
ただし、話し合いがまとまらなければ家庭裁判所の調停や審判を利用し、配偶者と建物所有者双方の事情を踏まえて判断を求めます。
法的手続きと登記の流れ
第3の要件として重要なのが、取得した配偶者居住権を第三者にも主張するには、法務局で設定登記をおこなうことです。
まず、遺言や遺産分割協議書など権利取得の根拠を整え、戸籍謄本や住民票、固定資産評価証明書など必要書類を漏れなく準備します。
その後、建物の所有権移転登記を先に済ませるか、配偶者居住権の設定登記と同時に申請を進める流れです。
また、設定登記は配偶者と建物所有者が共同で申請し、登録免許税は建物の固定資産税評価額の0.2%となります。
登記が完了すれば、建物が第三者へ売却されても居住権を対抗できるため、取得後は早めに手続きを進めましょう。
▼この記事も読まれています
不動産の遺贈と相続の違いは?税金や登記についても解説
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
利用前に知っておくべき配偶者居住権の注意点

ここまで配偶者居住権の仕組みや成立条件を解説しましたが、利用時のリスクなどもしっかり押さえておきましょう。
最後に、配偶者居住権を選択する前に知っておきたい注意点について解説していきます。
評価額と相続分への影響
配偶者居住権の評価額は、不動産の価値から居住権の負担が付いた所有権の価値を差し引く方法で計算されます。
たとえば遺産総額が5000万円で、配偶者と子ども1人が半分ずつ分け、居住権を1200万円と評価するケースを考えてみましょう。
配偶者が居住権1200万円と預貯金1300万円を取得すれば、住まいを維持しながら生活資金も確保できます。
一方で、子どもは負担付所有権1800万円と預貯金700万円を受け取り、自由に使える現金が少なくなる可能性があります。
そのため、配偶者の生活だけでなく、ほかの相続人が納税資金を確保できるかも確認しておくことが大切です。
売却制限と再婚時の扱い
配偶者居住権は配偶者本人に認められる権利であり、第三者へ譲渡したり、売却して現金化したりすることはできません。
また、所有者の承諾なく第三者へ貸した場合などは、権利の消滅を求められる可能性があるため注意が必要です。
双方が合意すれば権利を放棄できますが、無償で消滅させると、状況によっては建物所有者に贈与税が生じる場合もあります。
再婚しても居住権そのものは続く一方、再婚相手との同居では所有者との関係を確認すると安心でしょう。
さらに、介護施設へ移る可能性も考え、空き家となった場合の扱いや権利を終了させる条件を家族で事前に話し合っておくことが大切です。
費用負担と将来のリスク
配偶者居住権を利用すると、通常の修繕は居住する配偶者が費用を負担し、建物所有者は、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしない場合、自ら修繕できます。
固定資産税の納税義務者は建物所有者ですが、負担した税額については、居住する配偶者へ請求できる仕組みです。
また、間取り変更や大きな改修を希望する場合は所有者の承諾を得て、費用負担についても決めておく必要があります。
配偶者の死亡で居住権が消滅した際、その消滅自体に相続税がかからない点はメリットといえるでしょう。
ただし、所有者は将来、老朽化した建物を引き継ぐ可能性があるため、改修や解体費用まで見据えて利用を検討することが大切です。
▼この記事も読まれています
再婚後の家の相続は?よくある問題についても解説
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
まとめ
配偶者居住権とは、残された配偶者が亡くなった方の自宅に無償で住み続けられる権利であり、預貯金などの生活資金も確保しやすくなる制度です。
制度を利用するための要件として、相続時に法律上の配偶者が居住している事実と、遺産分割や遺贈などによって配偶者居住権を取得すること、第三者に権利を主張するためには設定登記が必要です。
利用する際は、ほかの相続人の受け取る現金が減ることや、無断で他人に貸せない制限、将来的な維持管理の費用負担なども家族でよく話し合うべきでしょう。
▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼
売却査定フォームへ進む
大東建託リーシング
全国の不動産取引をサポートする中で、親身な対応と誠実な情報提供を大切にしています。
一人ひとりのお客様に寄り添い、安心してご相談いただける関係づくりを心がけています。
■強み
・全国47都道府県に対応する広範なネットワーク
・地域に精通した担当者による的確な提案とサポート
■事業
・戸建て、土地、マンション、投資用物件の売買
・不動産の売却 / 買取 / 査定に関する幅広いご相談



