不動産相続のご相談
思いがけずやってくる相続。しかし、葬儀や相続税の申告期限などは待ってくれません。不動産を相続する際はどういった手続きが必要になるのか、円満に相続するにはどうすれば良いのかなどをご紹介します。大切な人から受け継ぐ不動産、円満な相続を実現しましょう。
相続のこんなお悩みございませんか?
- 分けるほどの財産がないのに相続対策って必要?
- 相続の手続きは、何から手を付けたらよい?
- 相続税は誰にどれくらいかかるの?
- どんな対策が必要?
- 財産の分け方がわからない
- どんなことに気を付ければよいの?
相続の流れ
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01相続人を決める
- ①法定相続人の確定
- まず、誰が相続人なのかを確定することが必要になります。遺族の誰が財産を相続するかを定めた「法定相続人」というものが民法で決められています。
- ②遺言書、遺贈、死因贈与などの確認
- 相続手続きの方向性を決める上で、遺言書の有無は大きなポイントになります。そのため遺言書の有無を確認しましょう。遺言書があり、そこに遺産の分割が記載されているときは、民法で決められた法定相続よりも優先されます。これは、亡くなった被相続人の最終的な意思表示なので、尊重しようという考え方があるからです。遺言書がない場合は、法定相続人全員で財産の分割を行い、誰がどれだけ相続するかを決め遺産分割協議書を作成することになります。遺贈(遺言による贈与)、死因贈与(贈与者が死亡した時点で効力が生じる贈与契約)などがあるかも併せて確認しましょう。
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02資金計画
- ①相続する資産と、債務のリストアップ
- 相続財産として何がどれだけあるのか、現金や預貯金、不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産についても調査・確認します。
- ②相続財産の評価
- 次に相続財産を評価します。相続財産は基本的に時価で評価することになっていますが、評価の仕方は財産の種類によって決められています。とくに不動産などは、評価額が時価より安くなることが多いです。
- ③(遺言書がない場合)遺産分割協議書の作成
- 調査した相続財産から、相続人全員で誰がどの財産を相続するのか(分け方)の話し合いを行います。相続人が全員合意して遺産分割協議が整ったら「遺産分割協議書」を作成します。
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03相続税を計算する
- ①相続税の課税価格の計算
- まず、相続税の対象となる「課税価格」を計算します。被相続人の遺した一切の財産の相続税評価額を合計し、さらに加えるものは加え、引くものは差し引いて、その結果出た額が相続税の課税価格となります。課税価格を出すにあたって相続財産に加えるものは、「みなし相続財産」と呼ばれる生命保険金や死亡退職金と相続開始3年以内の相続や遺贈により財産をもらった人に対する贈与財産などです。みなし相続財産などまた、相続財産から差し引くものは葬儀費用と被相続人の債務です。
- ②課税遺産総額の計算
- 次に、基礎控除額を計算します。この基礎控除の額は、定額控除と、法定相続人の数に応じた控除を合計して算出します。なお、法定相続人として認められる養子の数には制限があり、実子がいれば1人、実子がいなければ2人までとなります。課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた残りが、課税遺産総額です。相続税は、この課税遺産総額に基づいて計算されます。もし、相続税の課税価格が基礎控除額以内であれば、相続税はかかりません。申告も不要です。
- ③相続税総額の計算
- 課税遺産総額を法定相続分で分け、それぞれの相続税を計算して合計します。実際の相続人や相続割合に関係なく、「法定相続人に法定相続分で」分けて計算することに注意して下さい。この合計額が、相続税の総額となります。
- ④相続人それぞれの相続税の計算
- 相続税の総額を実際の相続人に、相続割合に応じて分配します。配分された額から控除があればその額を差し引いた額が、各人の負担すべき相続税額となります。
相続手続きの期限
相続手続きには期限があるものがあります。主要な相続手続きの期限を記載しました。相続人の方々は忙しく、様々な思いを持ちながら過ごされると思いますが、期限内に必要な手続きを行って下さい。期限内に手続きが間に合わなければ、不利益をこうむる場合があります。
相続開始から7日以内
- 死亡届
- 死亡者の居住地あるいは本籍地等の市区町村役場に提出します。
相続の開始を知ったときから3カ月以内
- 相続放棄
- 「相続放棄」とは、相続人が被相続人の財産及び債務について一切の財産を受け入れないことです。この意思表示は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に届け出をすることが必要になります。
- 限定承認
- 「限定承認」とは、正の財産の範囲内で負の財産を承継することです。この意思表示は相続開始を知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に届け出をすることが必要になります。ただし、この申し立ては相続人全員が共同して行う必要があります。
相続の開始を知ったときから4カ月以内
- 準確定申告手続き
- 個人が死亡した場合には、その年の1月1日から死亡の日までの期間の所得について相続開始を知った日の翌日から4ヶ月以内に確定申告(準確定申告といいます)をし、納税しなければなりません。
相続の開始を知ったときから10カ月以内
- 相続税の申告手続き
- 被相続人の遺産に対して相続税がかかる場合には、相続開始を知った日(通常は被相続人の死亡した日)の翌日から10ヶ月以内に相続や遺贈等によって財産を取得した人が相続税の申告・納税をしなければなりません。
遺産分割
遺産は公平に分割するのが理想ですが、相続財産に不動産がある場合は、複数の相続人に公平に分けるのが難しく、トラブルになることがあります。遺言書があれば、遺言書による遺産分割で完了しますが、遺言書がないと相続人全員の協議が必要となります。協議がまとまらなければ調整、審判となり、遺産分割が長期化することもありえます。また、協議でのちょっとしたことから相続争いの引き金になる可能性もあります。そこで、円滑な遺産分割のために、遺言書の作成をお勧めします。
遺言書の種類
遺言書の種類には下記のような種類があります。それぞれの遺言書の種類にはメリット、デメリットがあるので、よく理解した上で、自分に合った遺言書の種類を選択して下さい。
普通方式 | 自筆証書遺言 | 遺言者がその全文、日付および氏名を自書し、押印して作成する遺言書です。なお、2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言のうち、財産目録についてはパソコンによる作成や、銀行通帳のコピー、不動産の登記事項証明書を添付することができます。手軽に費用もかからずに作成できますが、形式不備で無効になったり、内容が不明確でもめる危険性があります。 |
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公正証書遺言 | 証人2人以上の立会いのもとに、公証役場に行って、公証人という専門家の前で作成する遺言書です。費用がかかりますが、まず無効にならず、滅失、隠匿、偽造、変造の恐れがありません。 | |
秘密証書遺言 | 遺言者が遺言書を作成し、これを封印し、証人2人以上および公証人の前でこれが遺言書であることを申述します。 遺言書の存在は明確にしつつも、その内容については秘密にできる遺言書です。 | |
特別方式 | 危急時遺言や隔絶地遺言など、危急の場合にのみ認められる遺言書です。遺言者が普通方式での遺言書を作成できるようになったときから6ヶ月間生存していた場合は無効となります。 |
遺産分割の種類
遺産分割には、下記のような種類があります。それぞれの分割方法の違いを理解し、適切な分割方法を選択して下さい。
現物分割 | 相続で取得する財産を、現物の財産そのままで分割する方法。最も一般的な相続方法です。 |
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代償分割 | 特定の相続人が財産を相続分以上相続する代わりに、その相続人が他の相続人に金銭を払う方法。相続分に応じて現物分割したり、売却して換価分割することが難しい場合に多く利用されています。 |
換価分割 | 相続財産を売却換金し、相続人に金銭で分配する方法。公平に分配することが可能なので、あとでトラブルになりにくいメリットがあります。 |
相続税対策
相続税対策は「相続税を安くする」という面と「相続争いにしない」という2面から考える必要があります。「次の相続を考えているか?」という点(二次相続対策と言います)も考慮して対策を検討していきましょう。ここでは代表的な相続税対策について説明します。
生前贈与の活用
贈与税の基礎控除額110万円の枠を利用して、毎年、相続人に対して贈与をしていく方法です。一見地味ですが、長期で行えば、効果が上がる方法です。贈与をする相続人が多いほど、また、長期で行うほど、相続時における資産を減らすことができ、相続税額の減少につながります。子ではなく孫へ贈与すれば、相続税の課税を1回減らすことができます。金額等は、相続財産、相続人の人数等を考慮して行い、かつ、贈与税の申告を忘れずに行うことが重要です。税務署とのトラブルを避けるために、銀行振り込みにより金額と日付を明確にするなど、証拠を作るということが重要になってきます。贈与でもらった現預金は、その受贈者(もらった人)が自由に使える状態であることも大切です。また、計画的に贈与を行いたいと考えて長期の贈与の取り決めをすると、契約をした年に、定期金に関する権利の贈与とみなされ、一括して贈与税がかかってくる可能性がありますので注意が必要です。実行される場合は、税理士等の専門家にご相談されることをお勧めします。
贈与税配偶者控除の活用
贈与税の配偶者控除とは、婚姻期間が20年以上の配偶者に居住用の不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を贈与した場合には、贈与税の基礎控除110万円のほかに、2,000万円まで控除できるという特例です。この特例を利用して、不動産又は居住用不動産を取得するための金銭を、配偶者に生前贈与することが可能です。なお、配偶者控除は同じ配偶者からの贈与については一生に一度しか適用を受けることができません。

不動産の活用
財産は、現預金等に換えて不動産で持つほうが相続税評価額が下がります。預貯金や現金は、その金額に対して相続税がそのまま計算されますが、土地や建物は時価ではなく、路線価や固定資産税評価額等を元にして計算されるためです。路線価は公示価格のおおむね80%相当額で設定されています。

納税資金
相続税は、原則として相続が開始してから10ヶ月以内に「現金」で納めることが必要です。節税対策も大切ですが、相続税を納める資金がなければ有効な相続税対策とはいえません。事前に処分できる財産は処分し、納税資金の準備をすることが必要です。特に、流動性の低い不動産などが財産の大部分を占めるようであれば、納税資金対策は非常に重要になってきます。
納税資金の確保
相続税の納税は原則として現金による納付です。したがって、流動性の高い資産(現金、預貯金、生命保険、上場株式、投資信託など)を保有しておくなど、前もって納税資金を用意することが大事です。相続財産に見合った納税資金がないときには、相続税の延納(分割払い)を申請することもできますが、延納の利子税は高いので、ますます相続税を支払うためのお金が足りなくなるおそれがあります。または、不動産などの資産を売却して納税資金を準備することになりますが、売却までに時間がかかったり、希望の金額で売れないことも考えられます。物納もできますが、物納許可基準の明確化により、要件が厳しくなっています。希望的な予測に基づく無理な納税計画は、相続破産を招くおそれがあります。前もって納税資金準備の計画を立てておきましょう。
収入増対策
現金で相続税を納付することができれば、不動産を売却する必要がなくなります。今ある資産の有効活用を考えたり、低い利回りの資産から高い利回りの資産へ組み替えて、できるだけ収入を増やすことが必要です。
相続に関するよくある質問
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A
被相続人(亡くなった人)の配偶者は常に相続人となります。第一順位の相続人は、被相続人の子です。第二順位の相続人は、被相続人の両親や祖父母です。第三順位の相続人は、被相続人の兄弟姉妹です。先順位の人がいる場合は、後順位の人は相続人になれません。同順位の人が複数いる場合は、その全員が相続人となります。
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A
同順位の相続人が複数人いる場合の相続分を民法で定めています。これを法定相続分といいます。1.配偶者と子が相続人になるときは、配偶者の相続分、子の相続分は、各1/2となります。2.配偶者と直系尊属が相続人になるときは、配偶者の相続分は2/3、直系尊属の相続分は1/3となります。3.配偶者と兄弟姉妹が相続人になるときは、配偶者の相続分は3/4、兄弟姉妹の相続分は1/4となります。4.子、直系尊属または兄弟姉妹が複数であるときは、各人の相続分は平等。配偶者と子が2人いた場合には、子は一人当たり 1/2×1/2 = 1/4 が法定相続分となります。5.代襲相続人※の相続分は、その直系尊属の受けるべき相続分と同じです。代襲相続人が複数人いる場合には、各人で直系尊属の相続分を均等に分けます。※相続人となるはずであった子または兄弟姉妹が、被相続人より先に死亡した場合等に、その人に代わって相続人となる人を代襲相続人といいます。
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A
遺言の種類は3種類あります。1.自筆証書遺言遺言者が自分で内容、日付、氏名を書いて捺印したものです。なお、2019年1月13日以降に作成する自筆証書遺言のうち、財産目録についてはパソコンによる作成や、銀行通帳のコピー、不動産の登記事項証明書を添付することができます。 目録の各ページには、自署押印は必要です。2.公正証書遺言承認2人以上の立ち合いで公証人が内容を公正証書に作成、各人が署名、捺印したものです。3.秘密証書遺言自筆または代筆、タイプなどにより遺言内容を書き、本人が署名、捺印したものを封印、2人以上の承認の立ち合いで公証人に証明してもらうものです。
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A
相続税が非課税の主な財産は下記のものとなります。1.お墓、霊びょう、祭具など2.宗教、慈善、学術等の公益事業を行う者が相続、遺贈により取得した財産でその公益事業の用に供することが確実なもの3.心身障碍者共済制度に基づく給付金の受給権4.相続人の受け取った死亡保険金(みなし相続財産)のうち、500万円に法定相続人の数を乗じて計算した金額に達するまでの金額5.死亡弔慰金のうち以下の金額・業務上の死亡の場合・・・賞与以外の普通給与の3年分・業務外の死亡の場合・・・賞与以外の普通給与の半年分死亡弔慰金のうち、上記の金額を超える金額は退職金として扱われます。6.相続財産を申告期限までに、国もしくは地方公共団体または特定の公益法人に寄付した場合の寄付財産7.相続財産に属する金銭を申告期限までに、特定公益信託の信託財産にするために支出した場合の当該金銭
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A
遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)とは、特定の者にだけ有利な内容の遺産分配がなされた場合に、一定の範囲の法定相続人が自己の最低限の遺産の取り分を確保することのできる制度です。自己の最低限の遺産の取り分を満たない相続人は、その原因となった遺贈や贈与分から、返還を請求できます。2019年7月1日より遺留分の減殺請求は、お金で解決することを第一として、金銭債権化されました。