売却向けコラム

再建築不可物件は売れる?不動産買取のポイントについても解説

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不動産を売却しようと考えたとき、その物件が再建築不可かどうかを確認することは重要です。
再建築不可物件は原則として建て替えができないため、通常の住宅と比べて売却時に多くの制限が発生します。
スムーズな売却を実現するためには、再建築不可とされる理由や売却の工夫をあらかじめ理解しておく必要があります。
この記事では、再建築不可物件の定義や売却が難しい理由、効果的な対策について詳しく解説していきます。

「再建築不可物件」とはなにか

「再建築不可物件」とはなにか

不動産の買取を検討する際は、物件の状態や立地に加え再建築不可物件かどうかも重要な判断材料です。
特に古い住宅や狭小地に多く見られる再建築不可物件は、資産価値や将来の活用方法に大きく影響します。
まずは、再建築不可となる代表的な要件を理解し、そのリスクを把握しておくことが欠かせません。
とりわけ再建築不可という条件は市場での流動性を大きく左右し、売却戦略そのものに影響を与えることがあります。

建て替えができない物件を指す

再建築不可物件とは、建物を取り壊した後に原則として再び建てられない土地に立つ建物を指します。
建築基準法に定める条件を満たしていない土地に多く、時代の法改正で「かつて合法だったが今は建て替え不可」という例が少なくありません。
たとえば、昭和初期に建築された長屋の多くがこの条件に該当します。
法的制限により住宅ローンが使えず資産価値が下がる傾向ですが、同法第43条の許可を得れば例外的に再建築できる場合もあります。
金融機関は将来の担保処分を見込めないため融資に消極的で、現金取引中心の市場となりやすい点がネックです。

接道義務を満たさないため再建築できない

再建築不可となる主因の一つが「接道義務」を満たしていないことです。
建築基準法第42条により、敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければなりません。
旗竿地など形状がいびつな敷地でも、幅員不足で再建築不可になるケースがあります。
この条件を満たさない土地や、接する道路が法的な「道路」と認められていない場合は、新築や建て替えが許可されません。
自治体によっては、私道の整備や道路指定の手続きを経ることで条件を満たせる場合がありますが、時間と費用の負担が大きく、個人での対応は難しいものです。

都市計画法に基づく制限が影響

都市計画法上の制限も再建築不可の大きな要因です。
市街化調整区域など建築が制限される地域では、既存建物を取り壊すと新たな許可が下りないことがあります。
景観地区では屋根材や外壁色まで許可制のため、事前協議に数か月要するケースがあります。
また、歴史的景観保護地区や防火地域などでも高さや外観に関する厳しい基準が設けられ、結果として建て替えが認められない場合も。
このように景観保護や防火を目的とする地域指定では、建物の外壁素材や色彩まで細部にわたる制限が課されているため、設計変更を迫られることもあるでしょう。

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「再建築不可物件」の売却が難しい理由

「再建築不可物件」の売却が難しい理由

再建築不可物件は建て替えができないため、一般的な住宅に比べて売却が難しくなります。
理由を理解しておくことが、買取を検討するうえで重要です。
以下では代表的な三つの課題を取り上げ、物件を手放す際に注意すべきポイントを整理します。

住宅ローンの利用が難しい

再建築不可物件は担保価値が低く評価されるため、多くの金融機関で住宅ローンの対象外となります。
買主は現金での購入を迫られやすく、ローン審査に通らず契約が流れるリスクも高いため、売却機会が大幅に限定されるのです。
一部のノンバンクやリフォームローンを活用できるケースもありますが、金利が高く返済負担が重いというデメリットが付きまといます。
さらに、再建築不可物件を担保とする融資は返済猶予などの柔軟性が低く、滞納時には即座に担保処分がおこなわれるリスクもあるため、金融機関側も慎重ならざるを得ません。
そのため、売主は早期売却を目指して価格を下げざるを得ないケースも少なくないのです。

建て替えできない点がネックになる

再建築不可物件は老朽化しても建て替えができないため、将来的に住めなくなる懸念が購入希望者の大きな不安要素になります。
長期利用の自由度が低く活用の幅も狭いため、買主は慎重になりやすいです。
その結果、再販売時の出口戦略が描きにくく、不動産投資としても敬遠されがちです。
買主が限られやすいことで売却までに長期間を要する傾向も見逃せません。

リフォーム費用の負担が大きい

再建築不可物件は築年数が古く改修が前提となるケースが多く、工事費が高額になりがちです。
耐震補強や配管更新など大規模改修が必要な場合、取得費に加えて数百万円規模の追加費用が発生する可能性があり、買主はコスト面で慎重になるでしょう。
さらに、増改築に伴う構造変更は確認申請が通らない可能性もあり、思い通りのリフォームが難しい点も買主の検討材料になります。

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「再建築不可物件」を売却する方法

「再建築不可物件」を売却する方法

再建築不可物件は、建築基準法や都市計画法などの制限によって新たな建築が許されていないため、一般的に売却が難しいとされています。
しかし、条件を工夫することで売却可能となるケースもあり、戦略的に動くことで資産として活用する道が開かれます。
本記事では、再建築不可物件を売却するための具体的な方法を3つに分けてご紹介します。
これらの方法を選択する際には、費用対効果や将来的な収益性を比較し、専門家の助言を得ながら最適な方策を検討することが重要です。

セットバックにより再建築可能にする方法

道路幅が4m未満の場合でも、敷地を後退させて後退部分を道路扱いとする「セットバック」をおこない自治体の承認を得れば、再建築が可能になる場合があります。
ただし、後退部分は建築に使えず敷地が狭くなるほか、前面道路が私道なら所有者との協議が必要です。
後退部分の境界確定や所有権移転の登記には専門家費用がかかり、再建築後の敷地形状によっては間取りプランの自由度が狭まる点も考慮が必要です。
行政によっては、補助金やセットバック奨励制度が用意されている場合もあり、活用することで費用負担を軽減できる可能性があります。

隣地を購入して再建築可能にする方法

敷地の接道幅が不足している場合は、隣接地を取得して基準を満たせば再建築できる可能性があります。
境界確定や建築確認などの手続きは専門家のサポートを受けると円滑です。
隣地所有者との価格交渉が難航すると追加取得費が膨らみ、採算が合わなくなる恐れもあるため、事前の収支シミュレーションが不可欠です。
こうした交渉は、宅地建物取引士や司法書士に依頼すれば、法律面のリスクを抑えながら合意形成を図れます。

リフォームによって物件の価値を高める方法

建て替えができなくても、室内設備の更新や外壁塗装などのリフォームによって物件の魅力を高めることは可能です。
内覧時の印象を向上させることで、買主の関心を引きやすくなり、売却につながります。
なお、平均的な水回り更新費は約80万円で、簡易改修でも収支に影響します。
また、リフォーム後に賃貸物件として運用するなど出口戦略を明確にすることで、買主に具体的な活用イメージを提示できます。
補助金や減税制度を活用すれば、初期投資を抑えつつ住環境を向上させやすい点もアピール材料になります。
省エネ改修やバリアフリー化に取り組めば、高齢者や長期入居を希望するテナントへの訴求力も高まります。

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まとめ

再建築不可物件は建て替えができないため、接道義務や法的制限によって利用や売却に制約が生じます。
住宅ローンが組みにくく買い手も限られることから、市場での売却には工夫と対策が求められます。
セットバックや隣地購入、リフォームなどを通じて資産価値を高め、売却可能性を広げることが大切です。

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