売却向けコラム

近隣トラブルがある不動産は売却できる?未解決のリスクや売却方法を解説

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自宅を売却する理由のひとつに「近隣トラブル」を挙げる方がいらっしゃいます。
しかし、そうしたトラブルの状況を抱えたまま、通常どおり売却できるのか不安に感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、近隣トラブルのある不動産の売却には告知義務は必要なのか、未解決で売却するリスクやスムーズに売却する方法を解説します。

近隣トラブルのある不動産の売却には告知義務は必要?

近隣トラブルのある不動産の売却には告知義務は必要?

近隣トラブルは、不動産自体には問題がないものの、取り巻く周囲の環境に瑕疵がある「環境的瑕疵」に当てはまります。
近隣トラブルのうち、告知義務が生じるのは、買主の購入判断に大きな影響を与えるケースです。
ここでは具体例として、告知義務が生じるケース4つと生じないケースについて解説します。

告知義務が生じるケース①規約違反する住民がいる

マンションなどの集合住宅の場合、住民同士のトラブルを防ぎ、快適な生活を守るための管理規約が存在します。
管理規約に違反する住民がいると、物件を購入した買主は損害を被る可能性が高いです。
たとえば、ペット不可の規約があるマンションでペットを飼っている住民がおり、鳴き声やしつけなどの問題で迷惑を被るケースがあります。
管理規約違反は迷惑行為に当たるため、該当する状況がある場合は、売主は買主に対し告知が必要です。

告知義務が生じるケース②クレーマーがいる

些細なことでもすぐに苦情を入れてくる方が近隣にいる場合、平穏な生活を送ることが難しくなります。
たとえば、昼間の掃除機や洗濯機の使用など、常識的に問題のないレベルの音でも敏感に反応する方がいるでしょう。
過去の判例では、売主が近隣のクレーマーについて買主に告知せず、後に損害賠償請求されたケースもあります。
クレーマーも、買主の生活を脅かす重要な要素となるため、告知する必要があります。

告知義務が生じるケース③近くに反社会的勢力の事務所がある

物件の近くに反社会勢力の事務所があることは、精神的なストレスになります。
発砲事件などに巻き込まれる可能性もあり、平穏な生活を送ることが難しくなるかもしれません。
反社会的勢力の事務所が近くにあることを隠して売却すると、損害賠償を請求されるおそれもあるため注意が必要です。

告知義務が生じるケース④隣地境界線のトラブルがある

隣地境界線とは、土地と土地の間の境界を決める線のことです。
隣地境界線の紛争中で境界が明確になっていない場合、買主が自分の敷地だと思って使用した部分について揉め事が起こる可能性があります。
不動産売却では売主は買主に対し、土地の境界を明示する義務を負っています。
トラブルを避けるためには、隣地境界線を明確にしてから売却することがおすすめです。

告知義務が生じないケース

近隣トラブルのなかには、告知義務が生じないケースもあります。
たとえば、隣宅の生活音レベルの騒音については、必ずしも告知する必要はありません。
また、数年前に近隣トラブルがあったものの解決済みである場合も、告知義務は生じません。
ただし、精神的・環境的瑕疵は人によって感じ方が異なるため、線引きが難しい部分があります。
告知義務があるか不安な場合は、不動産会社や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

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近隣トラブルが未解決なまま不動産を売却するリスク

近隣トラブルが未解決なまま不動産を売却するリスク

不動産売却は、可能な限り近隣トラブルを解決してから着手することがおすすめです。
ここでは、近隣トラブルが未解決なまま不動産を売却するリスクを3つ解説します。

リスク①契約不適合責任を問われる

近隣トラブルが未解決なまま、買主に告知せず売却した場合は、契約不適合責任を問われるリスクがあります。
契約不適合責任とは、引き渡した不動産と契約内容が適合しなかった場合に売主が負う責任です。
契約不適合責任が生じた場合、買主には契約解除や損害賠償請求を求める権利があります。
告知義務がある事項について隠して売却すると、大きなリスクを負うことになるため注意しましょう。

リスク②売却価格が下がる

未解決の近隣トラブルがある物件は、一般的な相場に比べて売却価格が下がる傾向があります。
売却価格の減額幅は、近隣トラブルの内容や程度によってさまざまです。
不動産の立地や建物の状態などによっては、近隣トラブルがあっても好条件で売却できる可能性もあります。
しかし、売却価格を下げないまま売り出すと買主が見つからず、売却活動が長引く可能性がある点には注意が必要です。
なお、近隣トラブルが原因で売却価格が下がった場合、隣人に減額分の損害賠償を請求したいと考える方もいるでしょう。
民法709条では、故意または過失により他人の権利を侵害した場合に賠償責任が生じるとあるため、法律的には損害賠償請求が可能であると考えられます。
しかし、実際にこのようなケースで損害賠償請求が認められたケースは少ないです。
訴訟にかかる費用や労力も照らし合わせたうえで、請求をおこなうか決めることをおすすめします。

リスク③近隣トラブルが悪化する

売却により、引っ越し前にさらに近隣トラブルが悪化してしまう可能性には注意が必要です。
売却活動中には、内覧やオープンハウスなどを開催し、購入希望者が物件を見に来ることになります。
不特定多数の方が物件を訪問することが、トラブルの原因となっている隣人の感情を逆なでする可能性もあります。
人目に触れる売却活動のリスクが心配な方は、後で解説する不動産会社の買取などの選択肢も検討すると良いでしょう。

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近隣トラブルがある不動産をスムーズに売却する方法

近隣トラブルがある不動産をスムーズに売却する方法

近隣トラブルがある不動産を売却する場合は、売却方法を慎重に検討する必要があります。
ここではスムーズに売却する方法として、仲介と買取の2種類を解説します。

仲介

近隣トラブルが告知義務のない軽微なものであり、不動産の状態も良い場合は、不動産会社による仲介で売却するのがおすすめです。
生活騒音程度のレベルの近隣トラブルの場合、他の条件が良ければ購入を希望する方は多いです。
仲介で売却するメリットには、市場相場に近い価格で売却できる可能性が高い点が挙げられます。

買取

告知義務のある近隣トラブルを抱えており、立地や状態が悪い不動産については、不動産会社の買取を利用するのがおすすめです。
一般の買主を見つけにくい訳あり物件を専門としている買取業者も存在します。
買取の場合、市場相場よりも買取価格が安くなるのが一般的です。
しかし、買取業者と直接の取引になるため一般の買主を探す期間が省け、スピーディーな売却ができる点がメリットです。
また、買取業者相手で売却する場合は、売主の契約不適合責任は免責となります。
買取業者は弁護士と連携しており、物件の買取後に近隣トラブルを解決したうえで再販するノウハウも持っています。
そのため、売却時のストレスを軽減し、近隣トラブルのある自宅から一刻も早く離れたいと考える方にはおすすめの方法です。

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まとめ

近隣トラブルがある不動産は、内容によっては売却時に告知義務が生じる可能性があるため、隠して契約不適合責任を負うことがないよう注意が必要です。
近隣トラブルがある状態のまま売却することには、売却価格が下がったり、トラブルが悪化したりするリスクもあります。
近隣トラブルがあり、一般の買主を見つけにくい不動産を売却する場合は、不動産会社による買取を利用するのがおすすめです。

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