親名義の空き家の売却方法とは?親が認知症になった場合や注意点を解説
これから活用する予定がない、親名義の空き家を所有している場合、早期に売却するのがおすすめです。
空き家のように誰も住んでいないと、家の老朽化が進む速度が速まるからです。
本記事では、親名義の空き家を売却する方法や親が認知症になった場合の売却方法、売却する際の注意点について解説します。
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親名義の空き家を売却する方法とは?
空き家は定期的な管理が必要となり、多くの手間がかかって大変ですよね。
さらに、空き家であっても固定資産税がかかるため、負担を減らす意味でも売却を早めにおこなうことが望ましいです。
しかし、売却したい不動産が親名義の場合、勝手に売却することはできません。
たとえば、両親が老人ホームに入居し実家が空き家になったケースや相続した実家を名義変更しないまま空き家として放置しているケースが挙げられます。
親が健在であっても、親の代わりに売却を希望する声や、手続きが難しいといったご相談もよくあります。
親名義の空き家を売却する方法は、以下のとおりです。
①代理人による売却
子どもが親の代理人として売却手続きをおこなう方法になります。
代理人になれば、本人に代わり法律行為をおこなうことができます。
不動産の売却は法律行為に該当し、通常は名義人自身がおこなう必要がありますが、代理人として認められれば、売却を代行することが可能です。
代理人として売却するためには、口頭での依頼だけでは不十分で、書面による委任状が必要になります。
また、代理人が売却活動をおこなう場合も、名義人の本人確認をおこないます。
名義人本人の意思を確認することによって、取引の安全性が保たれるためです。
なお、名義人が認知症などで判断能力が不十分な場合、代理人による売却はおこなうことができません。
名義人の意思決定能力に問題がある場合は、成年後見人の申立てなど、法的な対応が必要となるため、ご注意ください。
②相続して子どもが所有者として売却
子どもが親名義の空き家を相続した場合、不動産の名義変更が必要となります。
管轄の法務局で所有権移転登記の申請をおこない、名義を相続人に変更します。
名義変更後は、相続人が新しい所有者として空き家を売却することが可能です。
なお、相続にともなう所有権移転登記は「相続登記」と呼ばれ、2024年4月から義務化されました。
相続登記の義務化により、期限内に登記をおこなわないと10万円以下の過料が科せられる場合があるため、注意が必要です。
期限は、不動産を相続したことを知ったときから3年以内です。
すぐに売却の予定がない場合でも、相続登記は早めにおこないましょう。
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親名義の空き家を売却!親が認知症の場合について
親が健在で判断能力がある場合は、親の代理人になって不動産の売却を進めることができますが、認知症と診断された場合は代理人になれません。
判断能力が不足しているため、法的に不動産取引の契約を締結する能力がないと見なされるからです。
親が認知症の場合、親名義の空き家を売却するには成年後見制度を利用する方法があります。
成年後見制度を利用すると、裁判所が指定した成年後見人が本人の代わりに不動産の売却を含むさまざまな法律行為をおこなうことができるようになります。
成年後見制度とは
成年後見制度は、判断能力が低下した方の財産管理や福祉を法的に保護し支援するための制度です。
家庭裁判所に申し立てると、認知症になった親は「成年被後見人」として法的な保護を受けることができ、申し立てをおこなった家族等を成年後見人に指定してもらうことができます。
子どもが成年後見人に指定されると、親の代理として不動産を売却するなどの財産管理をおこなうことができます。
注意点は、成年後見人としておこなうすべての行動が、被後見人である親の利益に沿うものでなければならないという点です。
たとえば、親の介護費用のために不動産を売却することは適切ですが、後見人自身の個人的な利益のために財産を売却することは許されません。
成年後見人として親の財産を管理する際には、常に親の最善の利益を優先する責任があります。
この点を十分に理解し、適切な判断と行動を心がけましょう。
任意後見と法定後見の違いについて
成年後見制度には「任意後見制度」と「法定後見制度」の2つの形態が存在します。
任意後見制度は、親がまだ判断能力が十分に保たれているうちに、将来の判断能力低下に備えて設定する制度です。
親自身が後見人を選び、自らの生活や財産管理を任せる契約を結びます。
契約は公正証書で締結し、家庭裁判所に申し立てをおこなう流れです。
不動産を売却する際は、裁判所や任意後見監督人の許可が必要になることがあります。
任意後見制度は親が認知症になる前に設定する必要があります。
一方で、法定後見制度は、親の判断能力が既に大幅に低下した場合に適用される制度です。
家庭裁判所が後見人を指定し「後見」「補佐」「補助」と呼ばれる異なるレベルの支援を提供します。
法定後見制度では、後見人や補佐人、補助人の同意や代理権が不動産取引などの際に必要です。
親の財産が多い場合などは、専門家が後見人に選ばれることが一般的ですが、子どもが後見人になることもあります。
ただし、親族が後見人になるケースは全体の約19.1%に留まります。
親族による財産の不正使用の問題があるためです。
任意後見制度は事前に計画ができるため、親の意思を尊重しながら準備を進めることができます。
法定後見制度は親の判断能力が低下した後に始まるため、裁判所の関与が必要となり、プロセスが複雑になることがあります。
そのため、親名義の空き家を売却する際は、これらの制度の違いを理解して適切な手続きを選ぶことが重要です。
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親名義の空き家を売却する際の注意点について
親名義の空き家を売却する際の注意点は、以下の3つです。
注意点①境界線の問題
境界線に関する隣地所有者や買主とのトラブルは、不動産取引において頻繁に起こり得る問題の1つです。
境界線が確定していないと隣接する土地の所有者との間で意見の食い違いが発生し、結果として売却が困難になることがあります。
さらに、物件に興味を持っていた購入希望者が取引を敬遠する可能性があります。
親名義の空き家を売却する際は境界線が確定しているかを確認し、未確定の場合は確定測量をおこないましょう。
注意点②売却時期
親名義の空き家を売却する際、売却時期は大きく分けて「親の生前」と「相続後」の2つです。
とくに相続権を持つ子どもが複数いる場合、親が亡くなった後に相続の方法を話し合うと、意見の食い違いからトラブルが発生するリスクがあります。
親の判断能力がまだ健在の場合は、親の意思を尊重しながら売却を進めることが理想的です。
親がすでに亡くなっており、相続が開始されている場合は「換価分割」を検討するのがおすすめです。
換価分割とは、空き家を売却して現金化し、現金を相続人の間で分け合う方法になります。
不動産そのものを分割するよりも、現金だと均等に分けやすいため、相続におけるトラブルを防げます。
注意点③契約不適合責任
契約不適合責任とは、売買契約で合意された内容と実際に引き渡される不動産の状態が異なる場合に、売主が負う法的な責任のことです。
たとえば、売却した不動産に売買契約書に記載されていなかった雨漏りやその他の不具合が発覚した場合、買主から損害賠償を請求されたり、契約の解除を求められたりすることがあります。
とくに築年数が経過した空き家では、建物の状態を詳細に把握することが難しいため、注意が必要です。
親に過去の修繕履歴や現在の問題点についてヒアリングをおこない、専門家による建物のインスペクション(住宅診断)を実施して、隠れた問題がないかを確認するのがおすすめです。
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まとめ
親名義の空き家を売却する際は、子どもが代理人になり売却する方法と相続して売却する方法があります。
親が認知症の場合は、成年後見制度を利用すると、本人に代わって売却することが可能です。
注意点として、境界線の問題と売却時期、契約不適合責任が挙げられます。
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