売却向けコラム

成年後見人の不動産売却について!必要な手続きも解説

成年後見人の不動産売却について!必要な手続きも解説の画像

ご両親やご親族の認知機能が低下してしまい、所有している実家などの不動産をどのように売却すればよいのかとお悩みではありませんか。
名義人の判断能力が不十分なまま放置してしまうと、適法な売買契約を結ぶことができず、資金が必要なタイミングで物件を手放すことが困難になってしまいます。
本記事では、成年後見制度を利用した不動産売却の仕組みをはじめ、家庭裁判所への申立てから売却完了までの具体的な手続きについて解説します。
ご家族が築いた大切な資産を守りながら、安心かつスムーズに売却を進めたいとご検討中の方は、ぜひご参考になさってくださいね。

成年後見制度とは?

成年後見制度とは?

不動産売却に向けてまずおさえるべき成年後見制度には、主に法定後見と任意後見の2種類があります。
まずは、成年後見制度が持つ仕組みや種類などの基礎知識について解説していきます。

制度の創設背景と目的

成年後見制度は、認知症や障害などで判断能力が十分ではない方の権利や財産を守るため、2000年4月に始まった制度です。
創設当初は財産保全が重視されていましたが、現在は本人の意思を尊重し、その人らしい生活を支える考え方も大切にされています。
また、預貯金の管理や介護サービスの契約だけでなく、医療や介護に関する手続きを支える身上保護も重要な役割でしょう。
高齢化が進むなか、本人の希望や残された能力を生かし、地域で安心して暮らせるよう支援する視点が欠かせません。
そのため、不動産売却でも家族の希望だけで決めず、本人の生活費や住まい、今後の暮らしを踏まえて必要性を検討することが求められます。

法定後見と任意後見の違い

成年後見制度は法定後見と任意後見の2種類に分けられ、利用を始める時期や支援者の決め方に違いがあります。
法定後見は、すでに判断能力が低下している方を対象とし、家庭裁判所が状態に応じて後見・保佐・補助のいずれかを決める仕組みです。
一方、任意後見は判断能力が十分なうちに、将来支援を任せたい相手や内容を公正証書による契約で定めておきます。
法定後見には一定の取消権がありますが、希望する親族が必ず選任されるとは限らず、専門職が選ばれれば報酬も必要でしょう。
また、任意後見は希望を反映しやすい反面、取消権がなく、開始後は家庭裁判所が選ぶ任意後見監督人への報酬も見込む必要があります。

売却時に活用するメリット

不動産の売買契約には、内容や結果を理解して判断する意思能力が必要であり、その能力が不十分な状態で結んだ契約は無効となる可能性があります。
そこで成年後見制度を利用し、成年後見人が本人に代わって必要な手続きを進めれば、適法で安全な売却につなげやすくなるでしょう。
とくに本人の自宅などを売る場合は、家庭裁判所が必要性や価格の妥当性を確認するため、本人の利益を守りながら進められます。
さらに、売却代金を医療費や施設費、生活費へ充てる目的が明確になり、財産の使い道も整理しやすい点がメリットです。
その結果、親族間で売却理由や経緯を共有しやすくなり、本人の生活を優先した方針について話し合うきっかけにもなります。

▼この記事も読まれています
オーナーチェンジ物件は売却しにくい?売却価格の調べ方や成功の秘訣を解説

成年後見申立ての手続きステップと必要書類

成年後見申立ての手続きステップと必要書類

前章では、成年後見制度の基本的な仕組みについて述べましたが、実際に利用するための準備について解説します。
ここでは、家庭裁判所への申立てから必要書類のそろえ方までについて解説します。

手続きの流れと所要期間

法定後見の申立ては、本人や配偶者、4親等以内の親族などが、本人の住所地を管轄する家庭裁判所へおこないます。
まず後見人候補者の検討や財産状況の整理、必要書類の収集を進めるため、準備だけで1~2か月ほどかかることもあるでしょう。
書類提出後は裁判所による面接や生活状況の確認があり、必要に応じて本人の判断能力を医学的に調べる鑑定も実施されます。
また、鑑定にはさらに1~2か月ほど要する場合があり、審判の通知後2週間以内に不服申立てがなければ確定する流れです。
申立て自体は2か月以内で終わるケースもありますが、後見登記にも約2週間かかるため、売却を急ぐ場合ほど余裕を持った準備が欠かせません。

必須書類の集め方と確認

申立てでは、申立書や親族関係図などの裁判所指定書式に加え、本人の判断能力や財産、収支状況を確認できる資料をそろえます。
診断書は主治医へ専用書式で作成を依頼し、原則として申立て前3か月以内のものを準備しておくとよいでしょう。
また、本人や候補者の住民票は市区町村で取得し、マイナンバーを記載せず、裁判所が指定する必要な項目が載ったものを用意します。
法務局では本人の「登記されていないことの証明書」を取得し、財産目録には通帳の写しや不動産の登記事項証明書などを添付することが必要です。
さらに、収支予定表には年金や施設費の資料を添え、記載金額と証拠資料に食い違いがないか確認してから提出しましょう。

申立ての費用感と注意点

家庭裁判所への申立てでは、申立手数料の収入印紙800円、後見登記手数料2,600円に加え、3,000~5,000円程度の郵便切手代が必要です。
鑑定がおこなわれる場合は別途5万~10万円ほどかかることもあるため、管轄する裁判所へ事前に確認すると安心でしょう。
また、専門家への依頼は、書類作成のみで10万~15万円程度、申立て全般の支援では20万~30万円程度が目安となります。
選任後に専門職後見人がつく場合は継続的な報酬が発生し、本人の財産状況などを踏まえて家庭裁判所が金額を決める仕組みです。
なお、受理後は裁判所の許可なく取り下げられないため、候補者や費用、財産管理の方針を親族で共有したうえで慎重に進めましょう。

▼この記事も読まれています
購入申込書とは?不動産を売却する前に知っておきたい見方や注意点を解説

成年後見人による不動産売却の方法と注意点

成年後見人による不動産売却の方法と注意点

ここまで、制度の基礎や申立ての流れを解説しましたが、実際の不動産売却に関する実務もおさえておきましょう。
最後に、成年後見人がおこなう具体的な売却方法や契約後の注意点について解説していきます。

物件別の売却手順と許可

成年後見人が不動産を売却するときは、対象物件が本人の居住用不動産に該当するかを確認し、家庭裁判所の許可が必要か整理します。
居住用には現在の自宅だけでなく、以前住んでいた家や将来戻る可能性がある住まい、施設入所後の空き家も含まれるのが特徴です。
これらを売却する場合は家庭裁判所の処分許可が必要で、許可を得ずに進めると売買契約が無効になるため注意が必要でしょう。
そのため、申立てでは売買契約書案や複数社の査定書、売却の必要性がわかる資料をそろえ、価格や条件の妥当性を示します。
一方、投資用アパートなどの非居住用物件は事前許可が不要ですが、本人の財産保護を優先し、必要に応じて家庭裁判所へ相談すると安心です。

売却から契約締結の実務

実際の売却活動では、複数の不動産会社へ査定を依頼し、価格や根拠を比較しながら、家庭裁判所へ説明できる資料を整えます。
依頼先が決まったら媒介契約を結び、内見への対応や販売条件を担当者と共有し、本人の生活への負担にも配慮して進めることが大切でしょう。
売買契約では本人を売主とし、成年後見人が代理人として手続きをおこない、後見登記事項証明書や本人確認書類を準備します。
また、居住用物件では家庭裁判所の許可を条件とする停止条件付売買契約とし、許可が得られなければ契約の効力が生じない内容を明記しましょう。
決済と引渡しでは、司法書士に成年後見人の代理権や必要書類を確認してもらいながら、買主への所有権移転登記を進めます。

売却後の管理や税務手続き

不動産の売却後は、売却代金や固定資産税などの清算金を本人名義の口座へ入金し、成年後見人自身の財産とは分けて管理します。
そのうえで、入金が確認できる通帳の写しや最新の財産目録を家庭裁判所へ提出し、売却後の財産状況を報告することが必要でしょう。
また、施設費や生活費などの支出を記録し、定期報告では年1回を目安に財産の使い道を家庭裁判所へ示します。
売却で譲渡所得が生じた場合は、成年後見人が本人に代わって確定申告をおこなうため、売買契約書などを早めに整理しておくと安心です。
さらに、自宅売却で最大3,000万円の特別控除を利用できる可能性もあるため、適用条件を税理士などへ確認し、翌年の申告に備えましょう。

▼この記事も読まれています
不動産買取でよくあるトラブル!トラブル解決策と回避方法を解説

まとめ

成年後見制度には法定後見と任意後見の2種類があり、判断能力が不十分な方の権利と財産を守りながら、安全に不動産売却を進められる仕組みです。
制度を利用するための家庭裁判所への申立てや手続きには数か月かかるため、診断書や財産目録などの必要書類は余裕を持って準備することが大切です。
居住用物件の売却には家庭裁判所の処分許可が必須であり、売却後も適切な資金管理や確定申告などの手続きが求められるため、慎重に進めるべきでしょう。

大東建託リーシング

全国の不動産取引をサポートする中で、親身な対応と誠実な情報提供を大切にしています。
一人ひとりのお客様に寄り添い、安心してご相談いただける関係づくりを心がけています。

■強み
・全国47都道府県に対応する広範なネットワーク
・地域に精通した担当者による的確な提案とサポート

■事業
・戸建て、土地、マンション、投資用物件の売買
・不動産の売却 / 買取 / 査定に関する幅広いご相談


前の記事を読む

関連記事

不動産売却の広告について!費用負担の原則も解説の画像

売りたい

不動産売却の広告について!費用負担の原則も解説

不動産の売却を検討する中で、物件をアピールするためにどのような広告が使われ、その費用は誰が負担するのかと疑問に感じていませんか。広告の種類や費用負担のルールをあらかじめ理解しておかないと、効果的な集客ができないばかりか、後になって想定外の費用を請求されるトラブルに発展する恐れがあります。本記事では、不動産売却で活用される主な広告媒体の特徴をはじめ、宅建業法に基づく費用の負担構造や、例外的に売主が広告費を支払うケースについて解説します。無駄な出費を抑えつつ、納得のいくスムーズな不動産売却を成功させたい方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フォ...

未成年で不動産売却はできる?具体的な手続き方法も解説の画像

売りたい

未成年で不動産売却はできる?具体的な手続き方法も解説

未成年名義となっている不動産の売却方法について、どのようにおこなうべきかお困りではありませんか。未成年の場合は法律上単独での契約が難しく、どのような手続きや書類が必要になるのか分からず不安に感じてしまうことも多いですよね。本記事では、未成年者の不動産売却を可能にする具体的な手続きの方法から、事前に知っておくべき重要な注意点までを徹底解説します。お子さまが所有する不動産の売却を安全かつスムーズに進めたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フォームへ進む 目次 ▼ 未成年の不動産売却は可能?▼ 未成年が不動産を売却する際の3つの方...

老朽危険家屋解体撤去補助金制度とは?対象の条件についても解説の画像

売りたい

老朽危険家屋解体撤去補助金制度とは?対象の条件についても解説

長年使わなくなった空き家の管理に悩み、高額な解体費用の負担にお困りではありませんか。老朽化した建物をそのまま放置すると倒壊や近隣トラブルに発展するリスクが高まるため早めの対処が必要ですが、いざ解体するとなれば金銭的なハードルが高いのが現実です。本記事では、解体にかかる費用負担を大幅に軽減できる「老朽危険家屋解体撤去補助金制度」とはどのような仕組みなのか、具体的な支給条件やその他に住居解体へ使える支援制度について解説します。空き家の解体を検討しつつも費用面への不安からなかなか一歩を踏み出せないという方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フォー...

相続人がいない土地の手続について!国庫帰属の流れも解説の画像

売りたい

相続人がいない土地の手続について!国庫帰属の流れも解説

将来、ご自身が所有している土地を受け継いでくれる相続人がいないとお悩みではありませんか。具体的な対策をせずにそのまま放置してしまうと、土地が荒廃して近隣トラブルを引き起こすだけでなく、残された財産の処分に関する手続きが複雑化してしまうリスクがあります。本記事では、本当に相続人がいないかを見極める方法や、土地が国庫へ帰属するまでのプロセス、さらに生前に対処するための方法について解説します。ご自身の不動産を適切に整理し、将来に対する漠然とした不安を解消したいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フォームへ進む 目次 ▼ 相続人がいな...