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家族信託とは?空き家対策として家族信託をおこなうメリットをご紹介

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放置されて劣化した空き家は、倒壊のリスクや衛生環境の悪化など、周囲に深刻な被害を及ぼします。
そこで、空き家対策として注目を集めているのが「家族信託」です。
本記事では、空き家が発生する原因や家族信託の制度、空き家対策として家族信託をおこなうメリットをご紹介します。
空き家を相続予定の方は、ぜひ参考になさってください。

空き家が発生する原因とは?

空き家が発生する原因とは?

近年、日本では全国的に空き家が増加し、社会問題になっています。
しかしなぜ空き家が増加しているのでしょうか?
空き家が発生する主な原因は、以下の3つです。

原因①高齢者世帯の増加

内閣府の令和5年版高齢社会白書によると、65歳以上の方がいる世帯の割合は令和3年時点で49.7%にのぼり、昭和55年の24.0%から大きく増加しています。
65歳以上の単身世帯の割合も増加傾向にあり、こちらも昭和55年のおよそ2倍です。
単身世帯の高齢者が入院したり老人ホームなどの施設に入ったりすると、自宅は空き家となります。
また所有者が高齢になり認知症を発症すると、通常の不動産売却とは異なる方法をとらなくてはなりません。
そのため空き家の処分が煩雑となり、放置されているケースも珍しくありません。

原因②相続人の不在・未確定

通常、相続人が存在しない場合は相続財産管理人が選任され、残された空き家は国庫に帰属します。
しかし必要な手続きをとらず、そのまま放置されている空き家も少なくありません。
相続人がいても、遺産分割協議がまとまらずに空き家状態が続くケースがあります。
また何世代にもわたって相続登記(相続による所有権移転の手続き)がされていない不動産は、所有者の特定が困難です。
所有者が特定できないがために売却もできず、放置されている空き家もあります。

原因③空き家が遠方にある

かつては被相続人の子が実家を継ぐケースが主流でしたが、現代は子が実家を離れ、都市部にマイホームを構えているケースが少なくありません。
そのため実家が空き家となり、遠方にある実家の管理ができずに放置するケースが増加しています。
人口減少により、空き家は今後も益々増えていくことが予想されます。
したがって将来的に空き家となる実家をどうするか、相続が発生する前に家族間で話し合うことが大切です。

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空き家問題の解決策となる「家族信託」の制度とは?

空き家問題の解決策となる「家族信託」の制度とは?

空き家が増加する中、問題解決のための手段として「家族信託」が注目されています。
家族信託とは、高齢者が認知症などで判断能力が低下しても、財産の管理や運用を子などの家族に安心して任せられる制度です。
通常、不動産の所有者が認知症などで判断能力が低下した場合、家族が勝手に売却したり、賃貸活用したりすることはできません。
そこで判断能力のある元気なうちに家族と信託契約を結ぶと、本人が認知症などで正常な判断ができなくなったときに、家族が本人に代わって不動産を管理・処分することができるようになります。
家族信託を契約する場合、以下の3者を指定し、契約を結ぶことになります。

●委託者:財産を信託する者
●受託者:財産の管理や運用を引き受ける者
●受益者:信託された財産からの利益を受け取る者


一般的には家や土地を持っている親が委託者兼受益者となり、子が受託者となるケースが多いです。
家族信託ができるようになると、空き家を売ったり賃貸物件に出したりして得た資金を、本人の介護や医療費に充てることができます。
このように家族信託を活用することで、実家が空き家のまま放置されることを防止できるのです。

家族信託の契約の流れ

先述したとおり、家族信託とは家族でおこなうものです。
そのため家族信託をおこなう場合、まずは家族で話し合い、家族信託の目的と管理・運用の内容をすり合わせておく必要があります。
家族間で同意が得られたら、次は家族信託の目的や対象となる財産、受託者の権限などをまとめた「信託契約書」を作成します。
信託契約書は比較的自由な内容で作成できますが、インターネット上でダウンロードできるひな形も存在するので、そちらを参考にすると良いでしょう。
信託契約書が作成できたら、次は公証役場でその契約書を「公正証書化」します。
公正証書とは、公証役場が私人からの依頼によって作成する公文書のことです。
信託契約書を公正証書として作成することで、その契約書に高い証明力が発生し、契約書作成時に本人の意思決定能力があったことの証明にもなります。
そして家族信託を実際に管理・運用へと移すには、家族信託をおこなう財産の名義を受託者へ変更する必要があります。
これを「信託登記」といい、所有権移転登記と併せておこなわなければなりません。
信託登記が済んだら、最後に金銭を信託するための銀行口座を開設します。
そもそも家族信託とは財産の管理を任せるものなので、金銭は受託者自身の口座とは別の口座を開設し、そちらで管理する必要があります。
以上で家族信託の契約の流れは完了し、財産の管理を開始することが可能です。
ただしここまで見てきたように、家族信託の契約には煩雑な内容や手続きも存在します。
そのため専門家に手続きを依頼し、相談しながら進めることも多いです。

家族信託の注意点

家族信託の契約を結ぶときは、財産の分配方法や信託の終了に関する決まりも明確にしておきましょう。
細かい部分まで契約でしっかりと決めておくと、将来的に家族間のトラブルを避けることができます。
また家族信託は、財産所有者である本人の判断能力が正常なうちに契約を結ぶ必要があります。
認知症などを発症し、判断能力が低下した後では契約できないため、ご注意ください。

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空き家対策として家族信託を活用するメリットとは?

空き家対策として家族信託を活用するメリットとは?

では空き家対策として家族信託を活用すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
主なメリットは、以下の3つです。

メリット①迅速に財産を処分できる

家族信託は、委託者が存命中でも、受託者が空き家などの財産処分を迅速に決定できます。
成年後見制度の場合、成年後見人が不動産を売却するときは、裁判所の許可が必要です。
そのため市場価値が下落する前に早く売却したいと思っても、売却できるまでに時間がかかることがあります。
その点、家族信託は裁判所の許可が不要であり、受託者の判断で迅速に財産を処分することが可能です。

メリット②数世代先まで財産継承できる

家族信託では、数世代先まで財産継承できる点もメリットです。
たとえば受託者である子が亡くなったときは、孫に財産を承継するといった内容で契約を結ぶことができます。
また家族信託の契約内容は受託者の相続発生時に遺言代わりとなり、相続人の不在や遺産分割でのトラブルを防げます。
これにより、空き家のまま放置されることを長期的に防止できるのです。

メリット③空き家が適切に管理される

信託法では「受託者は、信託事務を処理するに当たっては、善良な管理者の注意をもって、これをしなければならない」と定められています。
この法的義務により、受託者は財産を放置することなく、適切に管理・運用しなければなりません。
そのため家族信託によって、空き家を適切に管理できるのも大きなメリットです。
空き家の場合、放置すると老朽化が進行し、将来的に価値が大きく低下するリスクがあります。
家族信託を活用すると、空き家が放置されることを防ぐことができ、空き家対策となります。

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まとめ

家族信託は、あらかじめ信託契約を結ぶことによって、本人が認知症などで判断能力が低下したときに、家族が代わりに財産を管理・処分することができる制度です。
この制度を活用することで、迅速な財産の処分や適切な管理、継承が可能になります。
ただし本人の判断能力が正常なうちに契約する必要があるため、家族信託を検討される場合は、なるべく早めに対処しておくことをおすすめします。


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