売却向けコラム

土地の相続税を延納する条件とは?メリット・デメリットや手続き方法を解説

土地の相続税を延納する条件とは?メリット・デメリットや手続き方法を解説の画像

土地を相続したときに多額の相続税が発生した場合、相続財産内の現金や自己資金では足りず、相続税をすぐに支払うことができないこともあるでしょう。
そんな時は、延納制度を利用して相続税を分割払いにする方法があります。
この記事では、相続税における延納制度とはなにか、適用条件や延納のメリット・デメリット、手続き方法について解説します。

土地の相続税が支払えない?延納制度や条件について

土地の相続税が支払えない?延納制度や条件について

相続税の延納とは、相続税を現金で一括払いすることが困難な場合に、年ごとに少しずつ分割払いする制度のことです。
延納制度を利用するには税務署への申請と認可が必要となり、延納期間中は利子税も発生します。
利子税の具体的な利率や延納が可能な期間は、相続した財産の種類や相続財産に占める不動産等の割合に応じて異なります。

延納の適用条件

相続税の延納を利用するための条件は、以下のとおりです。

●相続税額が10万円を超える
●現金で一度に支払うのが困難であること
●「延納申請書」と「担保提供関係書類」を期限内に提出
●相続税額と利子税額に相当する担保を提供する


延納を利用するためには、単に相続した現金や預金が足りないだけでは「現金で一度に支払うのが困難である」といえません。
自分の持っている現金や預金でも支払いができない場合に、延納が認められます。
たとえば、1,500万円の相続税が発生し、相続した現金や預金が1,000万円だったとします。
その場合、残り500万円が足りません。
相続人の銀行口座に500万円がある場合でも、貯金を全額使ってしまうと、生活費や住宅ローンの支払いに困る可能性があります。
そこで、生活費などに使う予定の100万円は差し引いて、残りの400万円を相続税の納税に使うことにします。
このケースでは、相続税の総額1,500万円から相続した現金1,000万円と自分の預金400万円を引くと、納税に不足する金額は100万円です。
つまり、不足する100万円についてのみ延納が認められるのです。
相続税の延納申請は、相続税の納期限または納付すべき日までに必要書類を税務署長に提出する必要があります。
なお、担保の提供は延納税額が100万円以下かつ延納期間が3年以内の場合は不要です。

延納申請の際に提供できる担保の種類

相続税の延納申請で提供できる担保の種類は、以下のとおりです。

●国債や地方債
●社債などの有価証券で税務署長が確実と認めるもの
●土地、建物、登記される船舶などで、保険に附したもの
●鉄道財団、工場財団など
●税務署長が確実と認める保証人の保証


なお、担保として提供する財産は、相続または遺贈により取得したものに限りません。
相続人固有の財産や共同相続人あるいは第三者の所有財産であっても担保として提供可能です。

▼この記事も読まれています
既存住宅売買瑕疵保険とは?売却時に利用するメリット・デメリットを解説

土地の相続税における延納のメリット・デメリット

土地の相続税における延納のメリット・デメリット

では、実際に土地の相続税について延納を利用すると、どんなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
以下をご覧ください。

土地の相続税を延納するメリット

延納を利用する最大のメリットは、一度に多額の相続税を支払わなくて良くなる点です。
延納によって相続税を分割払いにできるため、現金一括での支払いが困難な場合に助かります。
相続税の支払いが困難な場合、延納以外にも、金融機関から資金を借りたり、土地などの現物資産を売却して現金を捻出したりなどの対処法もあります。
しかし、金融機関の融資は人によっては受けられないこともあるため、確実ではありません。
また、相続税の支払いのために不動産を急いで売却するとなると、焦って安値で手放すことになる可能性もあります。
その点、延納を利用すれば、金融機関の融資が受けられなかった場合も急いで不動産等を売却することなく、相続税を支払えるメリットがあります。
さらに、延納で担保を提供する際は、担保となる不動産の抵当権設定登記にかかる費用を国が負担してくれる点もメリットです。
金融機関から融資を受けて相続税を支払う場合、返済の保証として担保となる不動産に抵当権を設定する必要があります。
抵当権設定の手続きには登録免許税や依頼する司法書士への報酬費などの登記費用がかかりますが、通常は借主の負担となります。
一方で、相続税の延納制度を利用した場合は、前述のとおり国が抵当権の設定登記にかかる費用を負担するため、登記費用を節約できるのです。
延納は、後から物納に変更することができる点もメリットです。
「物納」とは、相続税をお金ではなく、物(土地や株式など)で支払うことができる制度を指します。
物納は、延納によっても支払うことが困難である相続税額についてのみ利用できます。
そのため、延納制度を利用した後でも、10年以内であれば、物納に切り替えることが可能です。
とくに、現金化がむずかしい財産(特殊な不動産など)を納税にあてる場合にメリットがあります。
ただし、物納した財産の評価額は時価より低くなることもあるため、必ずしも利点ばかりではない点に注意が必要です。

土地の相続税を延納するデメリット

延納期間中は利子税が発生するため、納付する金額が増える点がデメリットです。
利子税の税率は課税対象の相続財産に占める不動産等の割合や市場の金利相場などによって異なり、詳細は国税庁のホームページで確認できます。

▼この記事も読まれています
古家付き土地とはなにか?売却におけるメリット・デメリットや注意点を解説

土地の相続税を延納するための手続きと必要書類

土地の相続税を延納するための手続きと必要書類

土地の相続税を延納したい場合、以下の手続きが必要です。

①必要書類の準備

延納の申請には以下の書類が必要です。

●相続税延納申請書
●延納申請書別紙(担保目録および担保提供書)
●担保提供関係書類


相続税延納申請書は、延納を申請する書類となり、国税庁のホームページの「相続税延納申請書」から取得可能です。
相続税延納申請書には、延納する相続税額や分割納付する期間などを記入します。
また、相続税延納申請書には「金銭納付を困難とする理由書」の添付も必要です。
理由書には、現金一括で納付することが困難な理由を具体的に記入しましょう。
延納申請書別紙は、担保の内容によって様式が異なりますが、提供する担保を記入する書類です。
担保提供関係書類は、担保にする財産によって提出する書類が異なり、たとえば土地の場合は登記事項証明書や固定資産税評価証明書など、土地の情報が分かる書類になります。

②延納申請書と必要書類を税務署に提出

延納申請書の提出は、相続税の納税期限である「相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内」です。
上記の延納申請期限までに、被相続人(故人)の住所地を管轄する税務署へ延納申請書と必要書類を提出しましょう。
なお、申請期限までに担保提供関係書類が揃わない場合は、担保提供関係書類の提出を延期することも可能です。
そのためには「担保提供関係書類提出期限延長届出書」の提出が必要です。
1回の手続きにつき3か月延長でき、最長6か月まで提出期限を延長できます。
税務署長は延納申請書の提出から3か月以内に、延納申請を許可するか却下するかを決定します。
ただし、提供した担保の状況によっては、最長6か月まで許可または却下の決定期間が延長されることもあるため、ご留意ください。

▼この記事も読まれています
空き家バンクとは?売却時のメリット・デメリットや利用の流れを解説

まとめ

相続税の延納とは、相続税を現金で一括払いすることが困難な場合に、年ごとに少しずつ分割払いする制度のことです。
延納を利用するメリットは一度に多額の相続税を支払わなくて良くなる点で、デメリットは延納期間中は利子税が発生する点です。
延納を利用するには、必要書類と延納申請書を管轄の税務署に提出する必要があります。


前の記事を読む 次の記事を読む

関連記事

駐車場の売却方法について!手続きの流れや注意点も解説の画像

売りたい

駐車場の売却方法について!手続きの流れや注意点も解説

所有している駐車場の売却を検討しているものの、具体的な進め方や最適な売り方が分からずお困りではありませんか。駐車場はそのまま売るべきか、それとも宅地に用途変更してから売るべきかなど専門的な判断が求められるため、なかなか行動に移せず悩んでしまう方も多いでしょう。本記事では、オーナーの目的に合わせた駐車場の売却方法をはじめ、スムーズに手放すための具体的な手続きの流れや、思わぬトラブルを防ぐための注意点について解説します。現在お持ちの駐車場を少しでも条件良く売却し、次のステップへと安心して進みたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フ...

不動産相続時の配偶者居住権について!成立要件と注意点も解説の画像

売りたい

不動産相続時の配偶者居住権について!成立要件と注意点も解説

将来発生する不動産相続において、残された配偶者が現在の住まいにそのまま住み続けられるか不安に感じていませんか。事前に対策をしておかないと、遺産分割の都合で住み慣れた自宅を手放さざるを得なくなったり、今後の生活資金が不足したりするリスクがありますが、「配偶者居住権」を活用することでこれらの問題を解決できます。本記事では、配偶者居住権の基本的な仕組みから、権利を成立させるための具体的な要件、そして実際に制度を選択する前に知っておくべき注意点について解説します。ご自身やご家族が不動産を相続する予定があり、残される大切な配偶者の住まいと暮らしをしっかりと守りたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくだ...

相続で使う遺言書の種類について!特徴や注意点も解説の画像

売りたい

相続で使う遺言書の種類について!特徴や注意点も解説

将来、大切な不動産をご家族へスムーズに相続するために、どの種類の遺言書を準備すべきか分からずにお悩みではありませんか。ご自身の状況に合わない作成方法を選んでしまうと、いざという時に書式不備で無効になったり、ご家族間で不要なトラブルを招いたりするリスクがあるため注意が必要です。本記事では、相続の際に用いられる自筆証書、公正証書、秘密証書という3つの遺言書の種類について、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較しながら解説します。不動産の相続を控えており、ご自身の意思を確実に残すための最適な備えをしておきたいとお考えの方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリッ...

境界杭の打ち直し費用はいくら?手順や負担割合についても解説の画像

売りたい

境界杭の打ち直し費用はいくら?手順や負担割合についても解説

大切な土地の売却を検討しているものの、いざ準備を始めようとしたら境界杭が見当たらず、どうすべきかお困りではありませんか。境界線が不明瞭なまま売却を進めると、後になって隣人や買主との深刻なトラブルに発展する恐れがあるため、事前に正しく打ち直しておくことが重要です。本記事では、境界杭を打ち直すための具体的な手続きの流れから、気になる費用の相場、さらにはその費用を誰が負担するのかについて解説します。疑問や不安を解消し、スムーズで安心できる土地の売却を実現したい方は、ぜひご参考になさってくださいね。▼ 不動産売却をしたい方はこちらをクリック ▼売却査定フォームへ進む 目次 ▼ 境界杭を打ち直す際の手...