所有者が入院中でも不動産売却は可能?売却方法や認知症の場合を解説
所有者が入院中でも不動産の売却は可能ですが、親族に代理を依頼する場合は注意が必要です。
この記事では、所有者である自分が入院中の場合や親が入院中の場合、所有者が認知症の場合と3つのケースについて売却方法を解説します。
不動産売却にお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
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弊社へのお問い合わせはこちら入院中の不動産売却方法①所有者が自分の場合
不動産を売却するには、売却の意思表示から売買契約の締結、不動産登記までの一連の手続きが必要です。
所有者である自分が入院中に不動産売却する際は、次の4つの方法があります。
①病院内で不動産売却
通常、売買契約の締結は仲介を依頼した不動産会社の事務所で、買主と売主の双方が立ち会いの元おこなわれますが、病院で契約をすることも可能です。
売却の手続きについては、以下のような流れになります。
●不動産会社に査定依頼
●病院内で売買契約の締結
●決済・物件の引渡し
入院中であってもインターネットを利用して、不動産会社に売却する物件の査定を依頼することは可能です。
ただし、訪問査定の際は親族に立ち会ってもらうと良いでしょう。
不動産会社に仲介を依頼して買主が見つかった後は、不動産会社に相談して、買主と不動産会社に病院まで来てもらいます。
契約締結後の決済や引き渡しの手続きは、司法書士や親族に代理を依頼すると良いでしょう。
なお、病状によっては病院側から面会を止められることもあるため、事前に不動産会社や医師に相談しておくことが大切です。
②持ち回り契約で不動産売却
持ち回り契約とは、仲介の不動産会社が売主と買主の双方の間を行き来して売買契約を締結する方法です。
そのため、買主と売主の双方の合意があれば、両者が立ち会わなくとも別々に契約書を確認して署名捺印をすれば契約が成立します。
売主が入院中でも、病院まで不動産会社に契約書を持ってきてもらえば良いのです。
③代理人に委任して不動産売却
自分の病状があまり良くない場合は、代理人に委任して不動産売却する方法もあります。
代理人は、親族や司法書士、弁護士に委任するのが一般的です。
代理人が売主の代わりに売買契約を結ぶ際は、委任状や所有者の印鑑証明書、代理人の身分証明書などが必要になります。
④親族に名義変更して不動産売却
子や孫などに贈与して不動産売却する方法もあります。
その場合、不動産登記簿の名義変更の手続きが必要になります。
ただし、贈与した場合は贈与額(不動産の評価額)に応じて受贈者(譲り受け人)贈与税が課せられる場合もあるため、ご注意ください。
入院中の不動産売却方法②所有者が親の場合
入院中の親から「所有している不動産を売却したい」と頼まれたときは、どのようにすれば良いか悩みますよね。
入院中の親の不動産売却については、次の2つの方法があります。
①子が代理人になって不動産売却
前章でも述べたとおり、所有者が入院中のときは代理人に委任して不動産売却が可能です。
そこで子が親の代理人になって不動産売却をする際の手順は、以下のとおりです。
●委任状の作成
●不動産会社に査定依頼
●売却価格の決定
●売買契約の締結
●決済・物件の引渡し
まずは、親が代理人である子に不動産の売却を委任する旨を書面で証明した「委任状」を取得する必要があります。
委任状は、所有者である親の直筆と実印と不動産の住所や面積、希望する売却価格などの詳細な情報を記載します。
次に子が代理で不動産会社に査定を依頼し、査定額を参考に売却価格を決定しましょう。
買主と売買契約を結ぶ際は、のちにトラブルにならないよう所有者本人である親にも内容を確認してもらい、契約を締結することをおすすめします。
また、代理人が所有者である親の代わりに売買契約を結ぶ際は、親の本人確認が必要です。
本人確認は、不動産会社や司法書士が親の運転免許証やパスポートなどの身分証明書を確認する方法でおこなわれます。
また、代理人の身分証明書や実印、印鑑証明書も必要です。
売買代金の決済・引き渡し日には、なるべく所有者である親も同席したほうが良いです。
売買代金は、親の指定した銀行口座に振り込まれます。
②子に名義変更して不動産売却
子が代理で不動産売却するとなると、委任状の作成や売買契約書の確認などで、親の手を煩わせることになります。
そこで、親から子へ贈与または売買で所有権の名義を変更して売却する方法もあります。
名義変更であれば、親も手続きが1回で済むため手続きの手間が省けるでしょう。
ただし、贈与や売買で一人の子に名義変更する場合は、そのほかの法定相続人に相談する必要があります。
生前に贈与された財産は、相続財産の対象となることがあるからです。
兄弟や所有者の配偶者などそのほかの法定相続人いる場合は、相続人同士でしっかりと話し合ってから名義変更と不動産売却をおこないましょう。
入院中の不動産売却方法③所有者が認知症の場合
所有者本人に判断能力がある場合は、前章で述べたとおり入院中であっても代理人や親族への名義変更などで不動産売却が可能です。
しかし、所有者本人が認知症で判断能力が不十分な場合は、法律で保護されているため自由に売却することはできません。
認知症の所有者が不動産売却をおこなうには、成年後見制度を利用する必要があります。
成年後見人制度とは
成年後見制度とは、認知症や重度の精神疾患などで判断能力が不十分な方が、不利益を被らないよう成年後見人が代理で財産管理や契約行為をする制度のことです。
成年後見制度には、任意後見制度と法定後見制度の2種類があります。
任意後見制度は、本人が判断能力のあるときにあらかじめ任意で成年後見人を選んでおく制度のことです。
法定後見制度は、すでに本人が認知症などで判断能力が不十分な状態のときに、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選任してもらう制度のことです。
家庭裁判所に申し立てができるのは、本人や配偶者、4親等内の親族などになります。
申し立てをする際は、申立書や戸籍謄本、後見登記事項証明書などが必要です。
親族が成年後見人になることを希望することもできますが、裁判所の審理によって選任されるため、弁護士や司法書士が成年後見人になることもあります。
家庭裁判所への申し立てから成年後見人の決定までは、1か月~2か月ほどかかるためご注意ください。
そして、所有者の成年後見人に選ばれた者が不動産売却の手続きを進めることになります。
成年後見人が不動産売却するには
成年後見人が認知症の所有者に代わって居住用の不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要です。
家庭裁判所へ申し立てする際は不動産の売買契約書案が必要となるため、売却活動をおこなってから許可を得る流れになります。
なお「不動産売却の必要性がない」や「本人や親族の意向に反している」などの理由で申請が却下されることもあるため、ご注意ください。
非居住用の不動産を売却する場合は家庭裁判所の許可は不要となり、成年後見人が通常の売却方法と同じ流れで手続き可能です。
ただし、非居住用の不動産でも売却をおこなう正当な理由(本人の生活費を捻出するためなど)がなければ、売買契約が無効となる恐れがあるため注意が必要です。
まとめ
自分が入院中の場合は、持ち回り契約や代理契約で不動産売却が可能です。
親が入院中の場合は、子が代理人となって売却する方法や子に名義変更をして売却する方法があります。
所有者が認知症の場合は、家庭裁判所に成年後見人の申し立てが必要となるため、ご注意ください。
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