不動産売却後に住民税はいくら上がる?支払い時期や計算方法を解説
不動産売却後に利益が生じた場合は、利益に対して所得税や住民税などの税金がかかりますが、いくらかかるのか気になりますよね。
とくに住民税は所得税と納税するタイミングが異なるため、払い忘れのないように注意が必要です。
この記事では、不動産売却後にかかる住民税とは何か、納税時期や計算方法を解説します。
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住民税とは、自分が住んでいる都道府県や市町村に支払う地方税のことです。
地方税には、市町村民税(東京都23区の場合は特別区民税)と道府県民税(東京都の場合は都民税)の2つがあり、合わせて「住民税」になります。
不動産売却後は、売却利益に対して所得税・復興特別所得税・住民税がかかり、総称して「譲渡所得税」と呼びます。
売却利益とは、わかりやすく言うと不動産を取得したときよりも高い価格で売れたときに発生する利益のことです。
住民税の仕組みとは
住民税は、毎年1月1日~12月31日の1年間の所得に対して課税されますが、納めるのは翌年です。
そのため、不動産売却をして利益が出た場合は、翌年の1年間は住民税が上がります。
なお、不動産売却で損失が出た場合は税金がかかりません。
住民税の標準税率は10%ですが、不動産売却の利益に対して課税される住民税は、不動産の所有期間に応じて税率が変わります。
不動産売却で得た利益は譲渡所得と呼び、給与所得や事業所得とは分離して課税されるため、売却した年の翌年に確定申告が必要です。
引っ越し後の住民税の納付先とは
住民税は、前述のとおり前年の1年間の所得に対して課税されます。
では、マイホームを売却して年の途中で引っ越した場合は、どこの自治体に住民税を納めれば良いのか迷うところでしょう。
住民税の課税基準日は1月1日となり、1月1日時点で住民票がある自治体に納める必要があります。
たとえば、マイホームを売却して2022年10月にA市からB市に引っ越した場合は、翌年の2023年にA市から新住所宛てに住民税の納付書が届きます。
そのため、2022年の所得に対する住民税は引っ越し後もA市に支払うことになるのです。
なお、確定申告については、引っ越し後の住所の管轄の税務署でおこないますので、お間違えないようにお気を付けください。
住民票をまだ移していない場合でも、確定申告をするときに住んでいる場所の税務署で申告をおこないます。
不動産売却にかかる住民税を支払う時期とは?
前章でも述べたとおり、不動産売却後に利益が生じた場合は、売却した年の翌年に譲渡所得の確定申告をおこないます。
国税となる所得税と復興特別所得税は確定申告の時期に納税しますが、住民税は地方税のため納税のタイミングが異なります。
確定申告の時期と住民税の納税時期は以下のとおりです。
確定申告の時期
会社勤めでこれまでに確定申告をおこなったことがない方は、いつまでに申告をおこなう必要があるのか気になるところでしょう。
毎年1月1日~12月31日までの1年間に生じた所得についての確定申告の時期は、翌年2月16日~3月15日までです。
たとえば、2022年10月に不動産売却をして利益が出た場合は、2023年の2月16日~3月15日の間に確定申告をおこないます。
確定申告でおこなう申告は所得税のみですが、住民税の申告も済ませたことになります。
所得税・復興特別所得税の納税期限は原則3月15日となり、住民税は申告後に納付書がご自宅宛てに送付されます。
確定申告を忘れて申告期限を過ぎてしまった場合は、ペナルティとして納める税金以外に無申告加算税や延滞税が課されますのでご注意ください。
住民税の納税時期
住民税には「普通徴収」と「特別徴収」があります。
普通徴収の場合は、各市町村によって時期が異なりますが、だいたい5月頃に納付書が届くでしょう。
支払いタイミングは、一般的に6月・8月・10月・翌年1月のように4期に分けて納税しますが、一括で納付することも可能です。
会社勤めの方は特別徴収を選択すると、給料から住民税が天引きされます。
納税方法は、確定申告の際に確定申告書第二表の住民税に関する事項欄への記入で選択可能です。
たとえば、申告書にある「給与から差し引き」を選択した場合は、特別徴収となります。
「自分で納付」を選択した場合は普通徴収となり、納付書がご自宅に届くでしょう。
なお、普通徴収の場合は納付書で指定された金融機関の窓口やコンビニなどで支払うことになります。
原則は現金での納付ですが、市町村によってはクレジットカード決済も可能です。
近年は、デジタル化に伴い電子マネーのチャージ額から支払うことができる自治体もありますよ。
住民税の納付方法の詳細については、各自治体のホームページや役所の窓口でご確認ください。
不動産売却にかかる住民税の計算方法とは?
では実際に、住民税がいくらぐらいかかるのか気になるところでしょう。
最後に、譲渡所得の計算方法や住民税の税率を解説します。
譲渡所得の計算方法
前章でも述べたとおり、不動産売却後にかかる住民税は譲渡所得に対して課税されます。
譲渡所得の計算式は下記のとおりです。
売却価格-(取得費+譲渡費)
取得費とは、不動産を取得したときにかかった費用のことで購入代金や購入時にかかった税金などが挙げられます。
建物を売却した場合は、購入代金から減価償却費相当額を差し引く必要があります。
理由は、建物は年数が経過するごとに資産価値が下がっていくためです。
居住用建物の減価償却費の計算式は以下のとおりです。
建物の取得費×0.9×償却率×経過年数
償却率は建物構造によって異なりますので、国税庁のホームページで確認しましょう。
譲渡費用とは、不動産売却にかかった費用のことで仲介手数料や印紙税などです。
取得費と譲渡費用を合計して売却価格から差し引き、利益が出た場合は譲渡所得になります。
なお、一定の要件に当てはまる場合は3,000万円の特別控除を受けることができ、譲渡所得額から最大3,000万円を差し引くことができます。
譲渡所得額から特別控除を差し引いて利益が0円になった場合は、住民税も所得税も非課税となりますよ。
譲渡所得にかかる住民税の税率
不動産の譲渡所得にかかる住民税は、不動産の所有期間に応じて異なります。
所有期間ごとの税率は以下のとおりです。
●所有期間5年超え(長期譲渡所得):5%
●所有期間5年以下(短期譲渡所得):9%
なお、所得税(復興特別所得税含む)についても上記のように所有期間によって税率が異なり、長期譲渡所得の場合は15.315%、短期譲渡所得の場合は30.63%です。
所有期間は、売却した年の1月1日時点を基準に数えます。
では実際に、下記例で住民税をシミュレーションしてみましょう。
●売却価格:5,000万円
●取得費:4,500万円
●譲渡費:200万円
●所有期間:5年超え
上記例で計算すると、譲渡所得は下記になります。
売却価格5,000万円-(取得費4,500万円+譲渡費200万円)=譲渡所得300万円
所有期間は5年超えの長期譲渡所得の税率で計算すると住民税は以下のとおりです。
長期譲渡所得300万円×5%=住民税15万円
なお、一定の要件に当てはまる場合は特例で上記よりも税率が低くなることもあります。
詳細は、国税庁のホームページでご確認ください。
まとめ
不動産売却後に利益が生じた場合は、利益に対して所得税・復興特別所得税・住民税がかかります。
住民税は所得税と納税タイミングが異なるため、支払い漏れのないようにご注意ください。
売却した不動産によっては、特別控除や軽減税率の特例で節税できる場合もあります。
不動産売却でお困りの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。
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