不動産の売却における売却益とは?計算方法や節税方法について解説

売却益という言葉は普段あまり聞かない言葉なので、何のことかわからない方も多いかもしれません。
売却益とは不動産を売却したときに発生する場合がある利益のことで、税金を納めなければならないケースもあります。
この記事では、売却益とは何かをご説明したうえで、計算方法や節税方法、損益になった場合の控除方法についてご説明します。
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不動産を売却したときに発生する場合がある売却益とはそもそも何かが気になりますよね。
ここでは、売却益とは何かについてご説明します。
売却益とは
売却益とは、不動産を売却して得た利益すべてのことを思われる方も多いでしょう。
しかし、実際は不動産を売却して得た全ての利益から、不動産の取得費や売却時にかかった諸経費などを差し引いて得た利益が売却益です。
売却益の計算式は以下のとおりです。
売却益 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
譲渡費用とは、不動産を売却するときにかかった諸経費のことです。
売却した不動産が一定の要件を満たし、特別控除が適用された場合は、さらに差し引かれます。
税金がかかる場合がある
不動産を売却して売却益が発生した場合、譲渡所得税を納めなければなりません。
先述したように、売却して得たすべての利益に税金がかかるのではなく、不動産取得費や売却時にかかった諸経費を差し引いて得た売却益に対して譲渡所得税がかかるのです。
売却益が0になった場合、譲渡所得税はかかりません。
会社員の給与所得に対して発生する所得税とは別であり、譲渡所得は単独で考えます。
また、譲渡所得税は、所得税にあわせて住民税も支払います。
さらに、東日本大地震の復興支援の一環として、2037年12月31日までは復興特別所得税も納めなければなりません。
確定申告が必要
不動産を売却して売却益が発生した場合は、翌年の2月15日〜3月15日の間に確定申告をおこない、譲渡所得税を納める必要があります。
確定申告は会社員の方には馴染みがないものですが、固定資産税のように行政から通知が来るものではないため、忘れないように注意しましょう。
申告を忘れると脱税とみなされて、延滞税や無申告加算税などの罰則を負うことになります。
また、不動産を売却して売却益が発生せずに赤字になった場合においても、確定申告をおこなうことがおすすめです。
赤字になった場合は損益通算によって節税効果にも繋がるからです。
不動産を売却したときの売却益の計算方法
不動産を売却したときの売却益の計算方法は複雑であり、さまざまな費用を算出する必要があります。
ここでは不動産を売却したときの売却益の計算方法をご説明します。
課税譲渡所得金額とは
不動産を売却したときの売却益を税法上では「譲渡所得」に分類します。
さらに譲渡所得に対していくらの税金がかかるかを「課税譲渡所得金額」といいます。
課税譲渡所得金額の計算上では以下のように取得費や減価償却費、売却時の諸経費などが必要です。
課税譲渡所得金額 = 売却価格 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除
取得費の算出
取得費とは、売却した不動産を購入した費用のことで、売買契約書に記載された契約金です。
購入価格に加えて、購入後のリフォーム代や仲介手数料、登録免許税、印紙税などの計上が可能です。
不動産の購入費用からさらに減価償却費を差し引いて取得費を算出します。
減価償却費の算出
減価償却とは、一般的に不動産の価値は年数が経つにつれて少しずつ下がっていく考え方のことです。
減価償却費は、以下の計算式によって算出します。
減価償却費 = 建物の取得価格×0.9×償却率×経過年数
減価償却費の算出は建物部分の価格のみ使用します。
売買契約書から建物部分の価格を確認してください。
償却率とは、建物の年数が経つごとに失う価値を数値化したもので、建物の構造と法定耐用年数から以下のように定められています。
●木木造または合成樹脂造:0.031
●鉄骨鉄筋コンクリート造または鉄筋コンクリート造:0.015
●金属造(骨格材の肉厚3mm以下):0.036
経過年数は、不動産を取得してからの年数です。
不動産の築年数ではないので注意してください。
譲渡費用の算出
譲渡費用とは、不動産を売却するときにかかった諸経費のことです。
不動産会社に売却を依頼した際に発生した仲介手数料や、測量費、登記費用、印紙税などが挙げられます。
さらに、建物を壊して土地を売った場合の解体費や、借家を売る際に支払った立退料の計上も可能です。
売却益を算出する
最後に、取得費・減価償却費・譲渡費用を計算式に当てはめて、課税譲渡所得金額の算出をおこないましょう。
それでは、8年前に土地価格1,500万円+建物価格2,000万円で購入した木造のマイホームを3,000万円で売却できた場合の売却益を算出してみましょう。
まずは以下の計算で取得費を算出します。
取得費 = 土地価格1,500万円 + 建物価格2,000万円 -(売却価格3,000万円×0.9×償却率0.031×取得年数8)= 2,830万円
売却費 = 売却価格3,500万円 -(取得費2,830万円-譲渡費用100万円)= 570万円
よって、売却益は570万円です。
なお、売却した不動産が一定の要件を満たして特別控除が適用された場合も、差し引きが可能です。
特別控除については次にご紹介します。
不動産の売却益にかかる税金の節税方法
不動産の売却益にかかる税金には、特別控除が利用できたり、赤字になった場合には、損益通算や繰越控除が適用されたりする場合があります。
このような特例は、申請しなければ適用されないため、ご自身で要件を満たしているかを確認し、節税へと繋げましょう。
特別控除
不動産の売却益にかかる税金の主な節税方法には「3,000万円の特別控除」「買い替え特例」が挙げられます。
「3,000万円の特別控除」とは、居住用財産(マイホーム)を売却したときに、売却益から3,000万円までが控除される特例です。
売却価格から最大3,000万円までが差し引かれるため、大きな節税対策につながります。
ただし、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却をおこなうなどの、さまざまな要件を満たす必要があります。
また、住宅ローン控除の制度が利用できないため、どちらがご自身にとって有利な制度であるかの確認をしてください。
「買い替え特例」では、居住用の住居(マイホーム)を売却して発生した税金を、新居のマイホームを売却するときまでの繰り延べが可能です。
免税されるわけではない点には注意しましょう。
ただし、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却をおこなうなどの、さまざまな要件を満たす必要があります。
また、居住用財産の軽減税率の特例との併用ができません。
不動産を売却して赤字になった場合の節税方法
不動産を売却して赤字になった場合、その年に売却した他の不動産の譲渡所得と相殺して節税する方法があり、これを損益通算といいます。
また、その年に相殺できなかった赤字部分は、翌年に繰り越して相殺が可能であり、これを繰越控除といいます。
最長で売却した翌年から3年間の繰越控除が可能です。
ただし、自分が居住していた家であることなどの、さまざまな要件を満たす必要があります。
不動産を売却して赤字になった場合でも、確定申告をおこない節税に繋げてください。
まとめ
不動産を売却したときに、売却価格から取得費や売却時にかかった諸経費を差し引いたものを売却益といいます。
売却益があると譲渡所得税が納める必要があるため、忘れずに確定申告をおこないましょう。
また、一定の要件が満たされた場合には、特例を利用して節税できます。
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