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土地購入時に確認したい「非線引き区域」とは?一戸建ての建築について解説

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土地購入時には、多くの方が「価格」「交通の利便性」「周辺環境」などを重視します。
しかし、土地購入後に建築物を建てたい場合は、その土地は街づくりにおいてどのような位置づけなのか、どのような規制がかかっているのかなどを確認しなくてはなりません。

土地の規制はエリアによってわけられているケースが多いため、まずは法律上どのようなエリアが存在するのか、知識を深めておくと良いでしょう。
今回は、さまざまなエリアのなかから「非線引き区域」と呼ばれるエリアについて解説します。

土地購入時に確認したい「非線引き区域」とは?

土地購入時に確認したい「非線引き区域」とは?

たとえご自身が購入した土地であっても、所有者の思いのままに利用できるわけではありません。
日本にある土地は、「都市計画区域」と「都市計画区域外」にわけられます。

●都市計画区域:計画的に街づくりをすすめる地域
●都市計画区域外:上記2つに含まれず、開発の可能性がほとんどない地域


都市計画区域の多くは都心部、都市計画区域外は山間部や海岸などの自然豊かな地域です。
都市計画区域は、さらに「市街化区域」と「市街化調整区域」、「それ以外の区域」にわけられます。

●市街化区域:すでに市街地となっている区域や10年以内を目安に街づくりをすすめる区域
●市街化調整区域:開発を抑制する区域


市街化区域と市街化調整区域にある土地には、建てられる建築物の用途や大きさが決まっていたり、特別な対策を講じなくてはならなかったりと、開発の促進・抑制のための規制がかけられています。
これらの区域にある土地を購入する際には、希望する建物が建てられるのかどうか、土地購入前に規制をしっかりと確認しなくてはなりません。
今回ご紹介する非線引き区域とは、都市計画区域内の「それ以外の区域」、つまり市街化区域と市街化調整区域のどちらでもない区域のことです。
都市計画区域内のエリアで市街化区域と市街化調整区域にわける作業を「線引き」といいます。
非線引き区域は、開発の方針が定まらないなどの理由で、線引きがされなかったエリアです。
2000年までは「未線引き区域」とも呼ばれていたため、ベテランの方などは現在も当時の名称で呼ぶことがありますが、現在は「非線引き区域」に統一されています。
市街化区域と市街化調整区域には目指す姿があるため、細かく用途地域(土地の利用方法)が定められ、厳格な規制がかけられています。
しかし、非線引き区域は用途地域を定める必要がなく、規制もほかの区域ほど厳格ではありません。
非線引き区域と都市計画区域外はなにが違う?
特定の用途のない区域には、非線引き区域のほかに「都市計画区域外」も該当します。
この2つの違いは、開発される可能性の有無です。
非線引き区域は将来的に開発される可能性がありますが、都市計画区域外は開発の予定はほとんどありません。

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非線引き区域にある土地を購入するメリット・デメリット

非線引き区域にある土地を購入するメリット・デメリット

非線引き区域は日常生活ではあまり耳にしない言葉であるため、ご自身とは関係ないものだと考えている方も多いのではないでしょうか。
実は、日本の国土の約25%が都市計画区域であり、日本国民の約90%が都市計画区域に住んでいます。
そして、都市計画区域の約48%を非線引き区域が占めていることを考えると、土地購入時にご自身が非線引き区域の土地を選択する可能性は十分にあるといえるでしょう。
そこでこの章では、非線引き区域にある土地を購入すると得られるメリット・デメリットをご紹介します。

非線引き区域にある土地を購入するメリット

非線引き区域には、市街化区域や市街化調整区域のような厳しい規制はありません。
たとえば、市街化区域で1,000m以上の開発行為をおこなう際には、都道府県などの許可が必要です。
市街化調整区域であれば、すべての開発行為で許可をとらなくてはなりません。
しかし非線引き区域では、基本的に3,000㎡までの開発行為には許可が不要です。
そのため、土地の売買や活用がしやすい点がメリットとして挙げられます。
また、非線引き区域は都心部から離れていることが多いため、自然豊かなエリアの土地を購入できる点もメリットです。
市街化調整区域も自然が豊かであるケースが少なくありませんが、建築に大きな規制がかかってしまいます。
都市計画区域外の土地も自然豊かではありますが、国民の10%程度しか暮らしておらず、利便性が低い可能性があります。
そのため、のどかなエリアの土地を購入し、活用したいと考えている方には、非線引き区域にある土地がおすすめです。

非線引き区域にある土地を購入するデメリット

非線引き区域にある土地は規制が厳しくないことがメリットですが、その分ほかのエリアには建てられないような、好ましくない建物が建てられてしまう可能性があります。
土地の売買や活用の自由度が高く、土地購入時から周辺環境が変わりやすい点もデメリットです。
また非線引き区域は開発予定が未定であるため、電気・水道・ガスなどが整備されていないケースが珍しくありません。
さらに、非線引き区域だとしても、用途地域が定められていたり、自治体独自の規制がかかっていたりする可能性があるため、注意が必要です。
開発の方針が決まったあと、市街化区域もしくは市街化調整区域に指定され、規制が厳しくなることもあります。
規制が緩いことを理由に非線引き区域の土地を購入する方は、その自治体の方針などを事前にしっかりと確認したほうが良いでしょう。

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購入した非線引き区域の土地に一戸建ては建てられる?

購入した非線引き区域の土地に一戸建ては建てられる?

マイホームとなる一戸建てを建築するために、土地購入を検討している方は多いことでしょう。
しかし、市街化区域にある土地は、厳しい規制によって希望どおりの一戸建てを建てられない可能性があります。
また、市街化調整区域内にある土地は購入自体は可能ですが、原則として一戸建てを建築することはできません。
一方、先ほど解説したように非線引き区域は規制が緩く、一戸建ての建築も可能です。
規制が緩い分、個性的なマイホームを建てたい方でも、希望どおりのマイホームを実現しやすいでしょう。

非線引き区域に一戸建てを建てる際の注意点

デメリットの項でご紹介しましたが、非線引き区域であれば、まったく規制がかかっていないというわけではありません。
自治体が自由に決められるため、一戸建ての建築に関する強い規制がかかっているケースもあります。
たとえば、海岸付近は「工業地域」となっていることが多く、その場合は非線引き区域であっても一戸建ての建築は不可能です。
用途地域が指定されていない地域であっても、容積率や建ぺい率、斜線制限など、最低限の規制がかかっていることは少なくありません。
自由度の高さが非線引き区域の土地の特徴ですが、節度のある利用が求められます。
また、農地に一戸建てを建てようとする場合は、非線引き区域であっても農業委員会もしくは知事の許可が必要です。
さらに、非線引き区域が市街化調整区域に指定されると、建て替えなどができなくなるおそれがあります。
そのタイミングで売却をしようとしても、買主はなかなか見つからないでしょう。
現時点の規制の有無だけでなく、将来の見通しなどもチェックしたうえで、一戸建てを建築することをおすすめします。

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まとめ

非線引き区域とは、都市計画区域内にありながら、市街化地域にも市街化調整区域にも属さない地域のことです。
ほかの地域にくらべて建築に関する規制が緩く、開発や売買の自由度が高い点などがメリットとして挙げられます。
一戸建ての建築も可能ですが、自治体によっては強い規制がかかっていることもあるため、事前に確認してから購入することをおすすめします。


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