購入向けコラム

入居者が行方不明になったときの確認方法や契約解除方法とは?対処法を解説

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賃貸物件の入居者との連絡がつかなくなると家賃も得られないため困りますよね。
本記事では、賃貸管理・賃貸経営をしている方に向けて、入居者が行方不明で音信不通になったときの確認方法や契約解除について解説します。
また、入居者が行方不明になったときにやってはいけないことも解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

入居者が行方不明で音信不通になったときの確認方法

入居者が行方不明で音信不通になったときの確認方法

入居者が行方不明となり、家賃を滞納されたまま連絡がつかなくなったときは、以下の確認方法や対処法があります。

①関係者へ連絡する

入居者との連絡が途絶えた場合、落ち着いて行動することが大切です。
入居者本人との連絡が取れない場合、まずは関係各所に連絡を取りましょう。
たとえば、以下のような方々に連絡を取ります。

●連帯保証人
●緊急連絡先
●入居者の家族


賃貸借契約を結んだ際に、入居者に連帯保証人がいる場合は、連絡を取りましょう。
連帯保証人は、入居者が家賃を支払わない際にその代わりに支払う義務を負っています。
また、入居者が提供した緊急連絡先にも連絡しましょう。
緊急連絡先が、入居者の状況を把握しているかもしれません。
入居者の家族にも連絡を取ることが考えられます。
家族の場合、捜索願いが出されていれば、入居者の安否と状況を把握している可能性があります。

②督促状を送付する

関係者への連絡にもかかわらず、家賃滞納が続く場合、次のステップとして督促状の送付が必要です。
督促状は、入居者に対して家賃滞納の事実と支払い期限を書面で通知するものです。
入居者の居場所がわからない場合は、連帯保証人にも督促状を送付できます。
連帯保証人は、入居者が家賃を支払わない場合に支払う義務があるため、督促状を受けることでプレッシャーをかけることができます。

③家賃保証会社に連絡

家賃滞納の問題は、時間の経過とともに複雑化する可能性があります。
家賃保証会社を利用している場合、家賃滞納が発生した場合には、保証会社に連絡が必要です。
保証会社は滞納分の家賃を代位弁済する可能性があります。
代位弁済が適用された場合、債権者は保証会社となり、入居者に対する家賃滞納の回収業務を保証会社が引き受けます。

入居者が行方不明で音信不通の場合の契約解除手続きについて

入居者が行方不明で音信不通の場合の契約解除手続きについて

入居者の行方不明が数か月続くと、未払いの家賃が積み重なります。
さらに、賃貸借契約が有効なままであるため、他の入居希望者に物件を貸すことができません。
その結果、損失が増大します。
滞納された家賃は連帯保証人や保証会社から回収できるかもしれませんが、物件内には入居者が残していった荷物があり、それには食品なども含まれている可能性があります。
この状況が放置されると、腐敗し、汚損や悪臭の原因となります。
したがって、多くの大家さんはできるだけ早く賃貸借契約を解除したいと考えるでしょう。
ただし、賃貸借契約を解除するには、以下のステップを踏む必要があります。

ステップ①賃貸借契約書を確認する

賃貸借契約を解除するためには、入居者に債務不履行があるだけでは不十分です。
契約解除は、お互いの信頼関係が壊れた場合にのみ可能です。
信頼関係が壊れたとは、一般的には家賃が3か月以上滞納された場合とされます。
ただし、契約内容によっても異なるため、弁護士に相談することをおすすめします。

ステップ②建物明渡請求訴訟の提起

部屋を取り戻すために必要な手続きです。
この訴訟は「建物明渡請求訴訟」と呼ばれます。
しかし、入居者が行方不明の場合、訴状が送れません。
そのような場合には「公示送達」という手続きがあります。
公示送達は、一定期間、裁判所の掲示板に文書を掲示する方法で被告(訴える相手)へ通知したとみなす制度のことです。
しかし、一般的に、裁判所の掲示物をチェックすることはないため、入居者は裁判が進行していることを知らないまま判決を受ける可能性があります。
公示送達をおこなうには、入居者が行方不明であることを証明する必要があり、調査が必要です。
そのため、弁護士に相談しながら訴訟を進めることをおすすめします。
同時に「滞納家賃の支払い請求」についても訴訟提起が必要です。
これは、強制執行で入居者の財産を差し押さえるために不可欠です。

ステップ③強制執行による明渡し

訴訟手続きが完了し、訴えが認められた後は、建物の明渡しをおこなうために強制執行を申し立てますが、この段階で問題となるのは、入居者が残した荷物です。
入居者の荷物を保管または移動しようとすると高額な費用がかかります。
したがって、特定の条件を満たす場合、荷物を即座に売却できる「即日売却」制度があります。
「即日売却」制度の条件は、以下のとおりです。

●賃借人や同居の親族などに荷物を引き渡すことができない
●相当期間内に賃借人や同居の親族に荷物を引き渡す見込みがない
●荷物が高価でない


上記の条件を満たさない高価な物品については「動産執行」として競売にかけ、得られた収益を滞納された家賃に充てることができます。
建物明渡請求訴訟と同時に滞納家賃の支払い請求訴訟をおこなうことは、この動産執行を実行可能にするための重要なステップです。

入居者が行方不明で音信不通になったときにやってはいけないこと

入居者が行方不明で音信不通になったときにやってはいけないこと

入居者が家賃を滞納したまま連絡が取れなくなった場合、正当な法的手続きを迅速に進め、問題を解決するためのプロセスを遵守することが大切です。
自己判断で行動すると、法的に不利になる可能性があるため、注意が必要です。
そのため、まずは弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
入居者が音信不通になったときにやってはいけないことは、以下のとおりです。

①物件内への立ち入り

入居者が行方不明になった場合、大家や不動産管理者は無断で賃貸物件に合鍵を使用して入ることを避けるべきです。
これは、不法侵入と見なされる可能性があるためです。
入居者の安否確認が必要な場合は、警察官に協力を仰ぎ、その立ち会いのもとで部屋に立ち入ることが望ましいです。

②勝手に鍵を交換

入居者が家賃滞納した場合、新しい鍵を用意し、「入居者が帰ってきた際に家賃の支払いを条件に新しい鍵を渡す」という手段を選ぶこともあります。
しかしながら、法的手続きを経ずに鍵を交換することは「自力救済の禁止」という法律に違反します。
自己の手で問題を解決しようとする行為は違法であり、法的なトラブルに発展する可能性があります。
したがって、無断で鍵を交換しないように注意することが重要です。

③強制執行を経ずに荷物の運び出し

合鍵を持っているからといって、大家が無断で賃貸物件に入り、滞納家賃の償却として物件内の荷物を持ち去ったり、運び出したりすることは許されません。
これは「自力救済の禁止」に違反する行為であり、法的な問題を引き起こす可能性があります。
入居者の荷物の運び出しは、法的な手続きを経てからおこなう必要があります。

④連帯保証人や親族に契約解除を求める

入居者と連絡が取れないからといって、大家が連帯保証人や入居者の親族に対して「契約を解除してください」と要求しても、法的に効果はありません。
連帯保証人は入居者の債務を代わりに肩代わりする義務を負っていますが、契約解除権は持っていません。
同様に、親族も契約解除の権限を有していません。
連帯保証人や親族に契約解除を迫っても、入居者が後で現れた場合、契約解除は無効となり、賃貸借契約は有効なままとなります。

まとめ

入居者が行方不明で連絡がつかなくなったときは、まずは連帯保証人や入居者の家族などに連絡をしましょう。
契約解除するには、賃貸借契約の確認と建物明渡請求訴訟、強制執行の3ステップが必要です。
やってはいけないことは、部屋への立ち入りや鍵を交換すること、法的手続きを経ずに荷物を勝手に運び出すことなどです。


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