土地の売買で知っておきたい「景観地区」とは?制限の内容を解説!
土地を売買するときは、その土地がどの地区に該当しているかを確認しておかなければなりません。
地域地区のなかで、とくに知っておきたいのが「景観地区」です。
そこで今回は、土地の売買を検討している方に向けて、景観地区とは何か、制限や美観地区との違いを解説します。
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土地の売買で知っておきたい「景観地区」とは

景観地区とは、都市計画によって定められる地域地区の一つです。
指定要件は、景観法に規定されています。
以下で、景観地区の特徴と適用される場所を見ていきましょう。
景観地区の特徴とは
景観地区には、市街地の良好な景観を形成するといった目的があります。
よく似たものに「景観計画区域」がありますが、これは景観行政団体が定める区域です。
景観に関する方針や行為の制限などを定め、比較的緩やかな規制を誘導します。
一方、景観地区は都市計画区域内で指定されており、景観計画区域より強制力があるのです。
景観地区に定められた土地では、市町村が強制力を持って建築物の形態や規模を規制でき、従わないケースは工事停止や是正命令・罰則が与えられます。
規制内容は各自治体によって異なるので、土地を売買する前に、ホームページや役所の窓口で確認しておくと良いでしょう。
景観地区が適用される場所とは
景観地区が適用される場所とは、市町村が良好な市街地の景観形成を図るために、都市計画として指定する都市計画区域内および準都市計画区域内です。
具体的には、伝統的な街並みや自然が豊かなエリアなど、その地域にふさわしい景観を保全・形成するうえで重要な場所が選ばれます。
城下町や海岸線のほか、特定のシンボルがある土地も景観地区に指定されるので、覚えておくと良いでしょう。
代表的な事例として「北海道のニセコアンヌプリ」「京都府の旧市街地」「神奈川県藤沢市の江の島周辺」などが挙げられます。
これらの景観地区には、建築物のデザインや色・屋外広告といった地域を構成するさまざまな要素に規制が設けられ、良好な景観の維持・形成が図られるのです。
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土地の売買で知っておきたい「景観地区」の制限

景観地区の制限は、大きく「必須事項」と「選択事項」に分けられます。
必須事項とは、すべての景観地区に適用される制限です。
一方、選択事項は、各自治体が適用するかを判断します。
そのため、ケースによって制限を受けない可能性もあるので、土地の売買前によく確認しておきましょう。
以下では、景観地区における必須事項と選択事項の内容をそれぞれ解説します。
景観地区の必須事項とは
景観地区の必須事項は「建築物に関する形態意匠の制限」です。
そもそも意匠とは、建物の形状や模様・色彩などが一体となって、地域の景観に美感を起こさせるものを指します。
景観地区の個別特性や目指す景観に合わせて、建物の形状や模様・色彩を地域に調和するよう定めているのです。
これは全国一律の基準ではなく、地区ごとに地域固有の景観や自然環境を考慮して、制限内容を決定しています。
たとえば、歴史的景観を守るために「和風にする」「木造建築を基本とする」「特定の屋根勾配にする」などといった制限が設けられるでしょう。
売買予定の土地にどのような制限が適用されているのか、あらかじめチェックしておけば、取引後の失敗も避けられるはずです。
事前の確認を怠っていると、希望の住宅を建てられず、費用面で損をする可能性があります。
なお、景観地区内で建築をおこなうときには、形態意匠の制限に適合しているか、市町村長に認定を受けなければなりません。
景観地区の選択事項とは
景観地区の選択事項は、主に「建築物に関する事項」「工作物に関する事項」「土地利用に関する事項」の3つです。
まず、建築物に関する事項として、高さの最高限度あるいは最低限度が挙げられます。
これは、都市計画で定められており、建築物の高さに制限が設けられる可能性があるでしょう。
ほかにも、壁面の位置制限や敷地面積の最低限度などが、都市計画で定められています。
工作物に関する事項として挙げられるのは、広告物や看板のデザインなどです。
設置できる工作物の形態意匠や、高さの基準が設けられている可能性もあります。
土地利用に関する事項では、木竹の伐採制限が適用されがちです。
土地の形質変更など、開発行為に制限が設けられるケースも存在します。
「工作物に関する事項」と「土地利用に関する事項」は条例で定められているため、各自治体によって判断が異なるのが一般的です。
トラブルを未然に防ぐためにも、景観地区の制限内容はあらかじめ把握しておきましょう。
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土地の売買で知っておきたい「景観地区」と「美観地区」の違い

景観地区と混同しやすい地区に「美観地区」が挙げられます。
この2つの違いは、以下のとおりです。
それぞれの地区について、目的や内容を確認しておきましょう。
違い①制度の目的
景観地区と美観地区の違いとして、まず制度の目的があります。
景観地区の目的は、都市や地域特有の良好な景観を新しくつくり出し、形成していくことです。
地域環境の一新が目的となっているため、より良い街づくりを推進しています。
一方、美観地区は、すでに存在する良好な景観を「維持」するのが目的です。
地域の景観を保つ取り組みをおこなっており、規制内容も景観地区と美観地区では異なります。
このように、美観地区が現存する街並みの維持を目指しているのに対し、景観地区では将来の街並み形成を目指しているのです。
制度の意味合いが異なれば、土地の売買後にできること・できないことも変わってくるので、混同しないようしっかりと認識しておきましょう。
違い②根拠となる法律
景観地区と美観地区では、根拠となる法律が違います。
景観地区は「景観法」に基づいて設定されていますが、美観地区の根拠法は「都市計画法」です。
根拠となる法律が異なるため、制度の内容は大きく変わってきます。
しかし、一部の自治体では、景観地区を「美観地区」と称して運用している可能性があるので、注意しなければなりません。
都市計画法は、都市の健全な発展を目的とするのに対し、景観法では良好な景観の形成と維持を目的にしています。
とくに景観法は、景観計画を策定して建築物の行為を誘導・規制し、美しい街並みや地域価値の向上を目指しているのです。
違い③制度の現行性
景観地区は現在の制度、美観地区は過去の制度となっています。
2005年の景観法施行に伴い、都市計画法の地域地区であった美観地区は廃止され、景観地区に移行されました。
そのため、現在施行されている制度が「景観地区」と認識できます。
ただし、名称を美観地区のまま条例で運用しているケースもあるので、制度の内容はよく確認しておきましょう。
2013年1月時点では、景観地区が全国で36地区、準景観地区が3地区指定されています。
準景観地区とは、景観の保全と形成を図るために市町村が指定する区域で、岩手県の平泉町準景観地区や和歌山県の町石道周辺準景観地区などが代表例です。
これらの地区は条例によって、建築物の形態や色彩・高さなどに規制が設けられる可能性があります。
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まとめ
景観地区は、市街地の良好な景観を形成するために指定される地域地区です。
制限の内容には、大きく「必須事項」と自治体が判断する「選択事項」があります。
美観地区は景観地区が施行される前の制度であり、都市計画法に基づいたすでに存在する良好な景観を「維持」するのが目的です。
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